この記事の概要
  • マンションの査定では主に「建物状況」と「管理状況」の2つのチェックポイントがある
  • マンション査定では「売却前に勝手なリフォームをしない」「査定は早めに受ける」といった注意点がある
  • マンション査定は複数業者への依頼がおすすめである

マンションの売却前には不動産会社が物件を訪問し、売り出し価格を決めるための査定をおこないます。

査定前になにを準備すればいいのか、なにに気を付ければいいのかと疑問な方もいるでしょう。

本記事では、マンション査定で不動産会社がチェックするポイントや査定前にやるべきこと、やってはいけないことなどをまとめています。

売却による収益をあげるためにも注意点について把握し、後悔しない査定を進めましょう。

マンション査定とは?

マンション査定とは、立地や建物の状況などをもとに、物件の価値となる価格を決めるために不動産会社がおこなう査定です。

マンション査定では、いくつかのチェックポイントをもとに査定額を決めます。

大きくわけると、物件の構造や部屋の状態を見極める「建物状況」と、修繕や共用部分の状態を見極める「管理状況」の2つです。

マンションの売却をする際は、査定依頼することで適切な価格を把握でき、後悔しない選択ができるようになります。

不動産の売却を検討しはじめたら基本を把握し、不動産会社に査定を依頼しましょう。

マンション査定の方法

マンション査定の方法のイメージ画像

マンションの査定方法には「訪問査定」と「机上査定」の2種類があります。

訪問査定は、実際に不動産業者が物件を訪問し見積もりを算出する査定方法です。
机上査定は、不動産業者が訪問することはなく物件のデータを元に価格を査定する方法です。

訪問査定は、より正確な価格を把握することができ、机上査定は、査定額を最短当日〜3日で知ることができるという利点があります。

一方で、知らない人が自宅マンションを訪問することに抵抗がある人には訪問査定はハードルが高く感じるでしょう。また、机上査定は訪問査定に比べると査定額が厳密ではないという注意点もあります。

訪問査定、机上査定どちらにもメリットとデメリットがあるので、自身の状況に合わせて選ぶことがおすすめです。

こちらの記事は、訪問査定と机上査定それぞれにフォーカスして紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
【訪問査定について詳しく知りたい方】

マンション査定で見る建物状況のチェックポイント7選

マンション査定建物状況のポイントのイメージ

マンション査定時の建物状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。

  • 立地条件
  • 築年数
  • 耐震性能
  • 床面積や間取り
  • 日照・通風条件
  • 内装や住宅設備
  • リフォームや修繕の履歴

それぞれのチェック内容について解説します。

①立地条件

駅から近いか、人気の住宅エリアかどうかを交通の便や周辺環境などをもとにチェックします。

とくに通勤・通学で利便性の高い立地だと高評価となり、査定額が高くなるでしょう。

普段の生活に欠かせない、スーパーマーケットや病院が近くにあるかどうかも重要です。

ファミリー向けのマンションを査定する際には、保育園、幼稚園、小学校などの教育施設や公園などの公共機関が近隣にあるかどうかもチェックします。

子育てしやすい環境であるかどうかは、購入者の物件選定で重要なポイントと言えるでしょう。

②築年数

一般的に、築年数が経過するほどマンションの価値は低くなります。

しかし、マンション査定時では、築年数相応の建物状況であるかどうかも判断します。

次の図は、2023年度の東京都における、築年数別の成約時の件数や㎡単価をまとめた資料です。

公益財団法人 東日本不動産流通機構による「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年7~9月】」築年数が経過するほどに成約価格こそ下がるものの、築25年以上の物件でも成約件数は多く、売りにくくなるとは言えません。
引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年7~9月】

築年数が経過するほどに成約価格こそ下がるものの、築25年以上の物件でも成約件数は多く、売りにくくなるとは言えません。

中古マンションの購入を検討している方のなかには、予算内での購入が叶う物件かどうかを判断基準としているケースが多いとも言えるでしょう。

③耐震性能

マンションの構造の良し悪しは耐震性能ではかれます。

建築確認申請が受け入れられた日によって、耐震基準は次の2種類にわけられます。

耐震基準 建築確認申請を受けられた日 予測される強度
旧耐震基準 1981年6月より以前 震度5で崩壊しない程度
新耐震基準 1981年6月以降 震度6~7で倒壊しない程度

新耐震基準に適合してるマンションであれば、査定額が高く売れやすい傾向にあります。

しかし、旧耐震基準だからといって安全性が確保されていないわけではありません。

物件のなかには新耐震基準相当の強度をもつケースもあります。

管理組合で作成される資料で耐震診断の有無を確認しておくとよいでしょう。

④床面積や間取り

ファミリー向けに人気のあるエリアのマンションの場合、床面積が広い物件であると購入希望者が集まりやすいなど、部屋の広さも重要です。

生活しやすい動線のある間取りかどうかもチェックされます。

玄関から各部屋へのアクセスがしやすい間取りや、LDKから各部屋へのプライバシーが取れる間取り、洗濯などの家事動線がスムーズな間取りは人気があります。

また、家族の荷物を収納できるスペースがあるのかどうかも大切なポイントとなるでしょう。

⑤日照・通風条件

南向きの物件は日当たりがよく人気があるため、売却価格が高くなる傾向です。

マンションが密接して建つエリアの場合、通風の確保も重視されるでしょう。

各部屋の窓の個数や大きさ、窓と窓との位置関係によっても通風条件は異なります。

換気口や通気口の有無や効率よく換気できているかどうか、湿気がこもりやすくカビが発生していないかどうかも同じく査定対象となるでしょう。

⑥内装や住宅設備

内装では、床のキズや汚れ、壁や天井ではクロスの剥がれもあわせてチェックします。

住宅設備では、キッチンなどの水回りに不具合箇所がないかどうかや、劣化状況を調べます。

正確に査定額を算出するためには、瑕疵(欠陥)となる経年劣化以外の故意や不注意でできてしまったキズ、壁に開いた穴や床の凹みなどがあれば隠さずに伝えましょう。

瑕疵を隠した場合、購入希望者に売買価格を下げられる恐れがあるなど、売却計画がスムーズにいかなくなるリスクがあります。

⑦リフォームや修繕の履歴

室内のリフォームや修繕をおこなっていれば、経年劣化による傷みが抑えられるため、査定時にプラスに働きます。

施工会社に工事を依頼した場合は、施工見積もりなどを準備しましょう。

控えの書類などがない場合は、いつ・どこを・どう直したのかをメモに書き留めておくと査定がスムーズです。

リフォームや修繕の履歴があると、大切に扱いながら暮らしていたとわかり、査定時の印象もよくなります。

しかし、査定額に大きく影響するとは言えない点は、把握しておいたほうがよいでしょう。

マンション査定で見る管理状況のチェックポイント4選

マンション査定で見る管理状況のイメージ

マンション査定時の管理状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。

  • 大規模修繕の履歴
  • 管理体制
  • 駐車場の有無
  • 企画・建築・販売会社名

それぞれのチェック内容について解説します。

①大規模修繕の履歴

大規模修繕の履歴で建物の劣化具合がわかります。

大規模修繕では、外壁やシーリング材、屋上などの塗装や補修をおこなうほか、貯水槽や給排水管などの目に見えない重要部分についても修繕がおこなわれます。

大規模修繕の履歴があるかどうか、修繕計画が実行されているかを把握しやすいよう、管理組合の報告書を準備しておくとよいでしょう。

②管理体制

マンション査定では、エントランス、廊下、エレベーターなどの共用部がメンテナンスされているかどうか、管理体制も調べます。

たとえば、ゴミが落ちていないか汚れが放置されていないか、整理整頓されているかどうかです。

また、管理人が常駐しているか、監視カメラの有無なども査定対象です。

これらの共用部の管理には管理費が使われます。

管理費が正しく使われているかを把握するためには、管理組合からもらう報告書を用意しておくと査定の精度が増すでしょう。

③駐車場の有無

車で生活する機会の多いエリアでは、住人の人数に応じた駐車場があるかどうかも重要です。

平面駐車場、自走式立体駐車場、機械式立体駐車場のどれに当てはまるかをチェックします。

敷地内に駐車場がない場合でも、近隣に月極駐車場があれば評価がよくなるため、査定時に不動産会社に伝えておくとよいでしょう。

④企画・建築・販売会社名

ブランド力のある企業が企画・建設・販売した物件の場合、売れやすい傾向にあります。

売却後の万が一のトラブルへの補償体制も整っており、購入の決め手になりやすいからです。

ただし、ブランド力のある企業でないマンションでも、管理体制がしっかりしていれば問題はありません。

査定額を決める上でのひとつの指標として把握しておくに留めておきましょう。

【マンション査定前】やるべき2つのこと

マンション査定前やるべきこと のイメージ

マンション査定前には、次の2つをおこないましょう。

  • 最低限の掃除や整理整頓をおこなう
  • 複数の不動産会社に査定を依頼する

それぞれについて解説します。

①最低限の掃除や整理整頓をおこなう

査定前に室内をきれいにしたところで査定額には響きませんが、最低限の片づけは必要です。

不動産会社が室内状況を確認しやすく、査定がスムーズにいくためです。

きれいに片づけや掃除をおこなうのは、購入希望者が来訪する内覧時のみで構わないでしょう。

②複数の不動産会社に査定を依頼する

不動産の査定額にはバラつきがあるため、査定時には複数の不動産会社に依頼しましょう。

できれば、3社以上に査定を依頼し、査定額が高すぎないか低すぎないか、妥当な査定額かどうかを判断するのがおすすめです。

査定額は双方の調整後に売り出し価格になりますが、成約価格ではないため、購入者希望者が購入しやすい相場の範囲内であるのが理想です。

【マンション査定後】やるべき3つのこと

マンション査定後やるべきことのイメージ

マンション査定が終わり査定額を確認した後は、次の3つをおこないましょう。

  • 不動産会社に査定額の根拠を聞く
  • ローンの残債を返済できるか確認する
  • 相場の範囲内で売り出し価格を決める

それぞれについて解説します。

①不動産会社に査定額の根拠を聞く

不動産会社によって査定額が異なるため、査定額の根拠を聞いて適正な価格であるかどうかを確認しましょう。

スムーズな売却には、査定額と成約価格との間に差が生まれないように、売却価格を設定する必要があるからです。

納得する答えが返ってくる不動産会社であるかで、信頼できる不動産会社かどうかの見極めもできるでしょう。

②ローンの残債を返済できるか確認する

不動産の売却時は、住宅ローンを一括完済しなければいけません。

そのため、ローン残債がある場合は、残債金額と売却代金の差を確認する必要があります。

ローン残債の方が多いケースでは、次の解決策があります。

  • 預貯金でローンを返済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却をおこなう

新居の購入費用として新しくローンを組む場合は住み替えローンを、どのケースにも当てはまらない場合は、任意売却後にローン残債を返済していきます。

③相場の範囲内で売り出し価格を決める

査定後には、売り出し価格を決めます。

売り出し価格を高くしすぎると買い手があらわれにくくなるため、慎重に考える必要があります。

次の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表した「首都圏 中古マンションの成約・新規登録件数の推移」です。

公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表した「首都圏 中古マンションの成約・新規登録件数の推移」㎡単価での売り出し価格(新規登録価格)と成約価格に差があり、平均すると3万円/㎡となっている。

引用:「季報 Market Watch  サマリーレポート 2023 年 7~9 月期■首都圏 中古マンションの成約・新規登録価格の推移

㎡単価での売り出し価格(新規登録価格)と成約価格に差があり、平均すると3万円/㎡となりました。

早く売却するためには、売り出し価格と成約価格との差を把握し、相場の範囲内での売り出し価格を設定する必要があると言えるでしょう。

マンション査定の相場の調べ方については、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください。

マンション査定後に不動産会社を選ぶポイント

マンション査定後に不動産会社を選ぶポイントのイメージ画像

マンション査定は、複数の不動産会社に依頼をし比較するようにしましょう。
契約先を決める際は、査定金額と営業担当者との相性が重要な判断材料となります。

具体的には以下のようなポイントに着目すると良いでしょう。

具体的な販売戦略はあるか

不動産会社を選ぶ際は、どのような売却活動を行ってくれるかが重要になります。

中古マンションの売却を得意とする企業であれば、ライバル物件の需給動向や最新の価格動向を把握しており、売り出しのタイミングやリフォーム・修繕の要不要、内覧に向けた対策などについてアドバイスしてくれます。

また、どのような販売手法で買い手の獲得をするのか既に見込み客がいるのかは販売活動に大きく影響してきます。

そのため、契約前に広告手法とその手法を使う理由、同エリアの中で同じような物件を探している方がいるかを確認しておきましょう。

特にインターネット広告の活用や不動産物件情報交換のためのネットワークシステムである「REINS TOWER」の登録有無については必ず確認しておくと良いでしょう。

マンションの売却を得意としているか

不動産会社によって得意とする物件の種類は異なります。

過去2年くらいの間に同じマンションや近隣で販売実績があるかや、自分の物件と近い物件の過去の取引実績数、売れるまでの期間の目安などを担当者に質問し、参考にして見極めると良いでしょう。

担当者の対応

担当者は、売主であるこちら側だけでなく、今後買主と交渉を行う人物にもなるため、対応の良さが大切になってきます。

周辺エリアへの知識や競合物件を把握しているか、こちらの要望を確認してくれるかやレスポンスの早さ、丁寧で正確なコミュニケーションが取れるかなど、直接関わった際に信頼がおけるかどうかを判断するようにしましょう。

マンション査定の注意点

マンション査定の注意点のイメージ

マンション査定には注意点があり、把握していないとスムーズな売却ができずに後悔する恐れもあります。

査定前には、次の2点に気を付けましょう。

  • 売却前に勝手なリフォームをしない
  • 査定は早めに受ける

物件を高く売りたいからといって、査定前の勝手なリフォームはやめましょう。

リフォームをしたからといって、費用を上乗せして売却できるとは限らないためです。

購入後に買主が自分の好みにあわせてリフォームするケースも増えているため、売却を検討する際にリフォームをおこなう必要はないと考えましょう。

マンション査定前にリフォームをするべきか悩んでいる方は、こちらの記事でもフォーカスしているので参考にしてみてください。

マンションの売却を考えてから査定、成約できるまでには3ヶ月〜1年ほどの時間がかかります。

そのため、売却へのファーストステップとなる査定は早めに依頼しておくと安心です。

また、こちらの記事ではその他のマンション査定における注意点や少しでも高く売るコツについても詳しく解説しているので合わせて読んでみてください。

マンション査定時によくある疑問点

マンション査定時によくある質問のイメージ

実際にマンション査定をおこなった方や、売却する方に多い疑問点について解説します。

マンションが売却できないときの対処法はあるのか

マンションの立地や条件によって売却までに時間がかかるケースでは、次の対処法を試すとよいでしょう。

  • 売却価格を見直す
  • 不動産会社に買取してもらう

不動産会社が営業活動をしても売却できない場合は、売却価格が高いまたは、ニーズの低い地域である可能性が高いです。

不動産会社に相談して周辺相場より価格を下げたり、不動産会社への買取を検討するのもひとつの手段です。

離婚時にマンション査定は必要なのか

離婚時には、マンションを売却するかしないかに関わらず、財産分与のために不動産の価値を確定する必要があります。

その際、確定する価格はマンションを買った時の金額ではなく、現時点で売却に出した場合に売れる見込みの評価額になるため、査定が必要となります。

離婚におけるマンション査定について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

マンション査定は複数業者への依頼がおすすめ

マンション査定複数業者へ依頼がおすすめのイメージ

マンションの査定時には、築年数や立地などの建物の基本情報のほか、室内状況、管理体制などが細かくチェックされます。

複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な査定額かどうかや安心して売却できる不動産会社かどうかを見極めましょう。

マンション査定を依頼予定の方は、全国1,700社以上の優良業者を簡単に比較することができる「イエイ」にお任せください。

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この記事の監修者
檜垣知宏
檜垣 知宏

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。
保有資格:宅地建物取引士