この記事の概要

  • 活用予定のない空き家は売却することがおすすめ
  • 空き家の売却は主に「そのまま売却」「解体し売却」「不動産会社に買取」といった3つの方法がある
  • 空き家を売却するには「維持管理がいらなくなる」「近隣住民への配慮がいらなくなる」といったメリットがある

活用していない空き家を持て余しているけれど、「売却するのも大変そう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

空き家をずっと所有していても維持管理に苦労したり、使っていないのに税金を支払うことになったりと、デメリットも多いです。

本記事では、空き家の売却方法や流れ、かかる費用、注意すべきポイントなどを解説します。

基礎知識を把握し、前向きに検討しましょう。

活用予定のない空き家は売却がおすすめ

活用予定がない空き家は売却がおすすめのイメージ

相続した空き家があるけれど活用予定がないなど、空き家を持て余しているケースでは、売却がおすすめです。

建物を所有するためには、管理の手間のほか維持管理費なども必要になるからです。

国土交通省「空き家の現状ー推移と種類別内訳(住宅・土地統計調査)」によると、空き家はこの20年で約1.5倍も増加しているようです。

空き家の種類別の空き家数の推移のグラフ 空き家はこの20年で約1.5倍も増加。種類別でみると、一番多いのが、賃貸用住宅で51.0%、次いで、その他の住宅で41.4%の割合を占めている。 そのうち、一戸建ての木造の割合が一番多く占めている。

引用:国土交通省

空き家の種類別で見てみると、一番多いのが、賃貸用の住宅で51.0%、次いで、その他の住宅で41.4%の割合を占めています。

また、そのうち、一戸建ての木造の割合が一番多く占めています。

空き家が増える事で、防災、衛生、景観、等に深刻な影響が出ている事から、空き家等の活用のための対応が必要となってきます。

これらの事から、国土交通省は、空き家の「活用拡大」、「管理の確保」、「特定空家の除却等」の3本柱で空き家問題に取り組んでいます。
 

建物の用途に制限がかかっており売却の困難な場合でも、用途変更をして空き家活用を強化するなど、国から自治体や所有者への支援措置などがおこなわれています。

空き家の売却へのハードルは下がっており、積極的に活用し管理の手間を減らすのがおすすめです。

国道交通省が行う対策【活用拡大】

専門家と連携し、空き家の活用拡大に向けて取り組んでいます。

また、民間事業者が空き家の発生防止に向けて支援を行うといった様々な活動も行われており、各自治体ごとに、相談窓口を設置したり、実態調査を行ったりといった活動が行われています。

これらの活動から、ただの空き家だった場所を、実際にコミュニティやカフェとして活用拡大することが出来ているようです。

参照:国土交通省

国土交通省が行う対策【管理確保】

空き家問題の対策として、特定空き家を未然に防ぐための管理確保も行っています。

特定空き家とは?

  • 倒壊等著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である

   状態にある空き家の事

実際に国が空き家の管理指針を告示し、定期的な換気や、通水、庭木の伐採などが行われていない場合、市区町村による勧告や指導が行われます。

また、所有者に代わり、建物管理を行う「管理不全建物管理人」の専任を市区町村が裁判所に請求できたり、電力会社にある所有者情報を市区町村が提供要請したりする事で、空き家の管理確保につなげているのです。
空き家の管理確保の表 特定空家化の未然防止や、管理不全建物管理制度の活用、所有者把握の円滑化などを行っている

引用:国土交通省

国土交通省が行う対策【特定空き家の除去】

国土交通省は、この特定空き家に対する措置状況として、必要な措置を行っていない場合、助言・指導などを行っています。

H27年から5年間に渡り、助言、指導や、勧告、命令を実施した件数も年々増えています。

特定空家等に対する措置状況の表 H27年から5年間に渡り、助言、指導や、勧告、命令を実施した件数も年々増えている。
引用:国土交通省

空き家を売却する3つの方法

空き家を売却する方法のイメージ

空き家の売却方法は次の通りです。

  • 手を加えずに売却する
  • 解体して更地にしてから売却する
  • 「早く売りたい」不動産会社に買取してもらう

空き家の構造や状態にもよるため、自分が所有する空き家にどの売却方法が当てはまるかどうかを考えてみましょう。

①手を加えずに売却する

「中古戸建て」や「古家付き土地」として、空き家に手を加えずに売却する方法があります。

次の通りに築年数を目安として、売り方を検討します。

  • 築20年以内:中古戸建て
  • 築20年以上:古家付き土地

一般的に、戸建ては築20年を超えると価値がほとんどゼロになると言えます。

そのため、築年数が経過した場合、建物があっても「古家付き土地」として、土地のみの条件で売りに出します。

手を加えずに売却するケースでは、建物の解体費用がいらず売却までの固定資産税も抑えられるため、手間なく費用を最小限にして売却が可能です。

少しでも安く戸建てを購入したい方や、自分好みにリフォームしたい方の二ーズに当てはまる売却方法とも言えるでしょう。

②解体して更地にしてから売却する

空き家を解体し、更地として売却する方法があります。

そのまま売却するよりも、土地のみで売却したほうが早期に買い手があらわれる可能性の高いケースにおいておすすめです。

しかし、更地として売るためには次のデメリットがあります。

  • 解体費用がかかる
  • 税金が高くなる

200㎡以下の小規模住宅用地の場合、固定資産税は6分の1になり、都市計画税は3分の1になる減税措置が活用できます。

しかし、更地とした場合は、減税措置の対象外となり、支払う税金が高くなります。

建物の老朽化が進んでおり倒壊の恐れがあるケースや、多額のリノベーション費用をかけないといけないケースでは、更地にしてからの売却がおすすめと言えるでしょう。

>> 古家の解体費用は?スケジュールや注意点とともに解説

③「早く売りたい」不動産会社に買取してもらう

空き家を早く売りたい場合は、不動産会社への買取がおすすめです。

買取なら営業活動して購入者があらわれるまで待つ時間がいらず、1週間〜2ヶ月ほどと早期に売却が可能です。

買取後は、不動産会社がリフォームなどをおこなったあとに再販します。

リフォーム費用などを差し引いた価格で買取するため、相場よりも売却価格の安くなるデメリットがあると言えるでしょう。

空き家を売却するメリット

空き家を売却するメリットのイメージ

空き家を売却することで得られるメリットは、次の通りです。

  • 維持管理がいらなくなる
  • 近隣住戸への配慮がいらなくなる

売却するかどうかで迷っている場合は、どちらが自分にとって最善の方法かを考えてみましょう。

メリット①維持管理がいらなくなる

空き家を売却してしまえば、維持管理は不要になります。

建物は使用していないと、思いのほか傷みが進みます。

清掃や換気のほか、定期的に蛇口から通水しないと水道管が錆びる恐れもあるでしょう。

とくに遠方にある空き家の場合、維持管理は大変になると言えます。

建物を管理するには時間も手間もかかりますが、売却すれば維持管理にかかる労力がいらなくなるメリットがあるでしょう。

メリット②近隣住戸への配慮がいらなくなる

空き家を売却すれば、近隣住民への配慮や心配事もなくなります。

空き家を放置すると次のリスクがあります。

  • 建物の倒壊などによる近隣住人への被害
  • 庭の景観の悪化
  • 野良猫の糞尿
  • ゴミの不法投棄
  • 放火や不法侵入者 など

人の気配を感じさせない空き家は防犯性が低下するため、犯罪が起こる恐れも高くなるでしょう。

万一の事態になれば近隣住人への被害にもつながるため、管理が行き届かない空き家を売却するメリットのひとつと言えます。

空き家の売却でかかる費用

空き家の売却でかかる費用のイメージ

空き家の売却時にかかる費用は次の通りです。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 解体費用(更地にするケース)
  • 国に納める税金

売却時には売却益だけではなく、支払う費用についても把握しましょう。

不動産会社に支払う仲介手数料

売却時には仲介手数料として、不動産会社に成果報酬を支払う必要があります。

広告などの売却活動や内覧時の案内、売買条件の交渉、契約手続きのサポートなどが仲介手数料の内訳です。

宅地建物取引業法では、仲介手数料の上限を次の通りに定めています。

売買金額 仲介手数料の上限
200万円以下 売買金額×5%+消費税
200~400万円以下 売買金額×4%+消費税
400万円以上 売買金額×3%+消費税

たとえば、1,000万円で売却できた空き家の仲介手数料の上限は、39万6,000円です。

一般的に、仲介手数料は売買契約時と物件引渡し時のそれぞれのタイミングで支払います。

解体費用(更地にするケース)

更地にしてから空き家の売却をおこなう場合、解体費用がかかります。

解体費用の相場は、33,000〜50,000万円/坪です。

たとえば、30坪の空き家なら、解体費用の相場は99〜150万円ほどです。

RC造や鉄骨造よりも、木造住宅のほうが解体費用は安く、建物の大きさや立地、解体業者によっても異なります。

なお、駐車場や境界フェンスなどの外構の撤去費用は、付帯工事費用として別途必要です。

国に納める税金

売却時には、次の税金を国に納める必要があります。

  • 譲渡所得税
  • 相続登記費用
  • 印紙税

譲渡所得税は不動産売却時の利益に対する課税となり、不動産の保有期間によって次の通りに税率が異なります。

税金の種類 保有期間5年以下 保有期間5年以上
所得税 30% 15%
住民税 9% 5%
復興特別所得税 0.63% 0.315%

不動産の保有期間が5年以上と長ければ、支払う税金が抑えられます。

相続登記費用とは、不動産の所有者をあらわす名義変更をおこなうときに必要な手続きで、相続した空き家を売却する際に必須です。


相続登記に必要な費用は、次の通りです。

必要になる費用の種類 かかる費用
登記書類の取得費 数千円ほど
登録免許税 固定資産税評価額×0.4%
司法書士への報酬 5~15万円ほど

登録免許税については、相続登記をおこなう前に所有者が死亡した場合などに免税措置が設けられています。

>> 不動産の登録免許税についてプロが解説!


印紙税とは、不動産売買契約書などの書類作成時に必要となる税金です。

売買金額によって異なり、1,000〜5,000万円以下の場合は2万円ほどの支払いですむでしょう。

2024年3月31日までであれば軽減税率が適用できるため、1万円ほどの費用負担です。

売却時に活用できる税制優遇制度

税制優遇制度のイメージ

空き家の売却時には、一定の条件下であれば次の税制優遇制度を活用できます。

  • 売却時の特例控除
  • 相続税の取得費加算の特例
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例
  • 解体時の補助金(自治体)

売却時の特例控除とは、空き家の売却時に得た利益の3,000万円までにおいて、税金が控除される制度です。

相続遺産をのこして亡くなった、被相続人の不動産を売却する際に活用できます。

>> 不動産売却の3000万円特別控除はどんな制度?条件や注意点を解説!


相続税の取得費加算の特例とは、相続のほか相続人でなくても財産を受け取れる遺贈により不動産を取得した場合、相続税の一定額を譲渡資産の取得費として加算できる制度です。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例とは、居住用の不動産を売却する場合、長期譲渡所得の税率を抑えて算出できる制度です。

それぞれの制度によって細かな条件があるため、確認しておきましょう。

>> 不動産売却時にかかる税金の計算方法、支払時期を解説


解体時の補助金は、自治体によって設けられている制度です。

たとえば、東京都中野区では、一定の条件下で空き家の除却(解体)にかかる費用の2分の1が助成されます。

空き家が所在する自治体のサイトや窓口で、解体費用の助成がおこなわれているか、助成される条件や金額について確認しましょう。

空き家を売却する流れ

空き家を売却する流れのイメージ

空き家を売却する際の流れは、次の通りです。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 査定を実施する
  3. 依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 不動産会社が売却活動をおこなう
  5. 買主と不動産会社とで売買契約の締結をおこなう
  6. 不動産を引渡す
  7. 確定申告をおこなう

不動産会社に査定の依頼をする際には複数社で見積もりをとり、契約先を決めましょう。

売買契約の締結時に売買代金の5〜10%の前金を受領し、引渡し時に残金を受領します。

空き家の売却時に利益が出た場合、売却した翌年の2月中旬から3月中旬に確定申告をおこないましょう。

節税優遇制度を活用する場合にも必須です。

空き家の売却時に注意すべき5つのポイント

売却時に注意すべきポイント

空き家の売却時には、次の注意すべき5つのポイントがあります。

  • 名義変更ができているか確認する
  • 空き家の土地・建物・設備の状態を確認する
  • 空き家を解体するかどうかの判断は事前に不動産会社に相談する
  • 売り出し価格は気持ち高めに設定しておく
  • 長期戦になることも覚悟しておく

スムーズな売却をおこなうためにも、あらかじめ確認しておきましょう。

①名義変更ができているか確認する

相続した空き家の場合などではとくに、名義変更ができているかを必ず確認しましょう。

不動産は所有者と売却主の名前が一致していないと売却できないためです。

名義変更となる「所有者移転登記」は、司法書士への依頼が一般的です。

報酬は司法書士によって異なります。

名義変更が完了次第、売却活動を進めていきましょう。

②空き家の土地・建物・設備の状態を確認する

空き家の売却前には、土地・建物・設備に不都合な点がないか、状態を確認します。

買い手としても空き家の修繕箇所が把握しやすく、印象がよくなるメリットもあります。

欠陥や不具合を確認しないまま売却すると、契約不適合責任を問われるケースもあるため、しっかりとチェックしましょう。

空き家の状態が著しく悪く、現状の管理状況では倒壊などの危険性があると判断される場合、「特定空き家」になる可能性があります。

特定空き家は、更地にしてからの売却も検討しましょう。

状態の確認時には換気をおこない、湿気や臭いがこもらないように対策し、空き家の維持にもつとめましょう。

>> 空き家をそのままにしておくとどうなる?押さえておこう行政代執行

③空き家を解体するかどうかの判断は事前に不動産会社に相談する

空き家を解体してしまうと売却時に損をする可能性があるため、不動産会社に相談してから判断しましょう。

更地にすると、国がおこなう軽減税率制度である「住宅用地の特例措置」から外れ、固定資産税や都市計画税が高くなります。

固定資産税は、1月1日時点の所有の有無で判断されるため、1月2日以降に更地にし、12月31日までに売却できれば税金の負担を抑えられるでしょう。

古い空き家でも、解体せずに売却できるケースもあります。

コスト削減にもつながるため、解体の判断は不動産会社に相談してからがおすすめです。

④売り出し価格は気持ち高めに設定しておく

売り出し価格は、売りたい価格よりも気持ち高めに設定しておきましょう。

不動産を売却する際には、買主に値下げ交渉をされるケースが多いからです。

古い空き家の場合は売れるまでに時間がかかるケースも多く、再度値下げをおこなうときもあります。

あらかじめ売り出し価格を高めに設定しておけば、値下交渉にも応じやすく売却しやすくなるでしょう。

⑤長期戦になることも覚悟しておく

通常の戸建てよりも売却までに時間のかかる空き家では、長期戦になることを覚悟してスケジュールを立てましょう。

戸建ての売却にかかる期間は、一般的に3〜8ヶ月ですが、古い空き家や田舎にある空き家など、条件が悪いとなかなか売却できないケースも考えられます。

時間がかかることを考慮しながら、焦らずに売却を進めていきましょう。

空き家の売却時によくある質問

空き家売却時によくある質問

空き家の売却時によくある疑問点についてまとめました。

田舎の空き家は売却できませんか?

相続した空き家が田舎にある場合でも、売却は不可能ではありません。

しかし、次の条件下では売却が思うように進まないケースもあるでしょう。

  • 立地条件が悪い
  • 築年数が経過している
  • 隣地との境界線が不明確である
  • 再建築不可の物件である

すぐにでも売りたいのなら、不動産会社への買取も検討し

査定時に相談してみるとよいでしょう。

売却費用を節約できますか?

少しでも手元に入るお金を多くしたい場合、売却にかかる費用を節約する方法として次の2つがあります。

  • リフォームしない
  • 不用品の処分を自分でおこなう

戸建てのフルリフォームの相場は、400〜2,500万円ほどです。

売却費用を節約したいのなら手を加えずに売却をおこなえば、コストカットと売却開始までの時間を短縮できます。

空き家を売却するときには、家具などを撤去する必要があります。

不用品の処分はできる範囲で自分でおこなうと、業者を雇うコストが削減できるでしょう。

不動産会社はどうやって選べばよいですか?

複数の不動産会社へ依頼し、空き家のエリアなどの条件によって依頼先も選びましょう。

全国展開する業者なら高く売れやすく、地元の業者なら早期に売れる可能性が高いなど、どのように売却するのかによって依頼先が異なります。

また、不動産会社によって査定額が異なるため、相場観が適切で相談しやすく信頼できそうな不動産会社を選ぶとよいでしょう。

空き家の売却をどこにしようかお悩みなら「イエイ」にお任せ!

空き家売却ならイエイがおすすめのイメージ

空き家の売却方法には、手を加えずに売却する方法と更地にしてから売却する方法、不動産会社に買取してもらう方法の3つがあります。

築年数や立地、管理状況などを加味して、空き家の状態にあわせた売却方法を決めることが買い手を見つける最善の方法です。

空き家の売却のスタートは査定からはじまります。

「イエイ」は不動産一括査定が可能なため、空き家売却に強い不動産会社を見つけやすいメリットがあります。

査定は無料で行えますので、ベストな不動産会社を見つけて、空き家売却への第一歩を踏み出しましょう。