土地の売却を考えているけれど、売却時にどのような税金がどれくらいかかるのか分からず不安ですよね。

こちらの記事では、土地売却時にかかる税金とその金額、納税のタイミングや節税方法についても詳しく解説していきます。

【記事のポイント】

  • 土地を売却する際にかかる税金は4種類(印紙税・登録免許税・所得税・住民税)
  • 納税額は「売却額」「土地の所有期間」が主な要因となって変動
  • ただし対策によって節税も可能

土地売却にかかる税金への疑問を解消し、納税に備える準備をしましょう。

土地売却時にかかる税金は4種類

土地売却時にかかる税金のイメージ

土地の売却を行うと、以下の4種類の税金が発生します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 所得税
  • 住民税
  印紙税 登録免許税 所得税 住民税
納税時期 売買契約の成立時 土地の引き渡し時 確定申告の時 売却した翌年6月以降から発生
課税対象 売買契約書の作成 住宅ローンを借りている場合のみ 売却益が発生する場合 売却益が発生する場合
納税額 売却額によって変動 一つの土地に対して1,000円 土地の所有期間によって変動 土地の所有期間によって変動

それぞれ納税時期が異なるため、かかる金額と合わせてご紹介していきます。

印紙税

印紙税とは、売買契約書の作成時にかかる税金のことです。
納税の方法は、売買契約書に収入印紙を貼り付け印鑑などで消印をし納税します。
収入印紙を購入する際は、法務局や郵便局で入手することが可能であり、金額の低いものであれば一部のコンビニでも取り扱いがされています。

【印紙税の金額と納税時期】
印紙税の納税時期は、土地の売却による売買契約が成立したタイミングになります。
金額は土地が売れた価格によって変動します。
印紙税の金額 記載された契約金額 1万円未満のもの 非課税 1万円以上 10万円以下のもの 200円 10万円を超え50万円以下のもの 400円 50万円を超え100万円以下のもの 1,000円 100万円を超え500万円以下のもの 2,000円 500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円 1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円 5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円 1億円を超え5億円以下のもの 10万円 5億円を超え10億円以下のもの 20万円 10億円を超え50億円以下のもの 40万円 契約金額のきさいのないもの 200円

出典:国税庁ホームページ

登録免許税

登録免許税は、売主が売却する土地に対して銀行から住宅ローンを借りている場合のみ必要となります。
住宅ローンの返済金額が残っている場合は、全額返済を済ませて「抵当権」の登記を抹消しなければなりません。
住宅ローンを借りておらず、抵当権が設定されていない場合は登録免許税は課税されないのでご安心ください。

【抵当権とは?】
住宅ローンなどを借りる際に、購入する土地や建物に対して金融機関が担保として設定する権利のことです。

【登録免許税の金額と納税時期】
登録免許税の金額は一つの土地に対して1,000円になります。
また、「抵当権」の登記を抹消する際には司法書士への報酬も必要となり、相場は1〜2万円程度です。
納税のタイミングは、土地を引き渡す時になります。

所得税と住民税

土地を売却した収入が購入した時の金額よりも上回る場合、売却益が発生するため所得税と住民税が課税されます。
この二つを合わせて「譲渡所得税」ともいいます。
所得税のなかには、令和19年12月31日まで所得税額2.1%分の復興特別所得税が上乗せされているためそちらも合わせて必要となります。

【所得税と住民税の金額と納税時期】
まずは、売却する土地に売却益が発生するのかを確認してみましょう。
こちらの譲渡所得を求める計算式で出た金額が、土地を購入した時の金額よりも上回る場合は所得税と住民税が課税されます。

譲渡所得=売却価格-(譲渡費用+取得費)

【譲渡費用とは?】
土地の売却時に関わる不動産への仲介手数料や印紙税、測量費用、建物の解体を行った場合は解体費用などを指します。
【所得費とは?】
土地の購入代金、不動産取得税、登録免許税、土地購入時に不動産会社に支払った仲介手数料、土地購入時の印紙税、土地相続時の登記費用などが含まれます。

所得税と住民税が発生する場合の税率は、売却する土地の所有していた期間が5年以上か5年以下かによって変動します。
土地の所有期間の数え方は、土地の取得日から売却した年の1月1日時点までです。

  5年以上 5年以下
所得税 15% 30%
住民税 5% 9%

つぎに、納税時期について解説していきます。
所得税の納税は、確定申告のタイミングで行います。そのため、土地を売却した翌年の2/16〜3/15までとなります。
その際に復興特別所得税も一緒に納めることになるので注意しましょう。
住民税は、土地を売却した翌年6月以降に4回に分割して支払うか、一括で支払うかを選択し納税することになります。

土地売却でかかる税金の節税方法

土地売却でかかる税金の節税方法のイメージ

土地の売却には税金がかかることを説明してきましたが、節税の対策があるなら知っておきたいですよね。
土地売却でかかる税金の節税対策にはこちらの方法があります。

  • 印紙税の軽減措置
  • 居住用財産の3,000万円の特別控除
  • 土地の所有期間が10年を超える場合の特例
  • 平成21年・22年に取得した土地の売却による特例
  • 公共事業などのために土地を売った場合の特例

印紙税の軽減措置

上記の内容で土地の売却には印紙税がかかることを説明しましたが、【平成26年4月1日~令和9年3月31日】までの間に作成し交わされた売買契約書であれば、印紙税が軽減されるため以下の表を参考にしてみてください。

印紙税の軽減措置 10万円を超え50万円以下のもの 200円 50万円を超え100万円以下のもの 500円 100万円を超え500万円以下のもの 1千円 500万円を超え1,000万円以下のもの 5千円 1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円 5,000万円を超え1億円以下のもの 3万円 1億円を超え5億円以下のもの 6万円 5億円を超え 10億円以下のもの16万円 10億円を超え50億円以下のもの 32万円 50億円を超えるもの 48万円

出典:国税庁ホームページ

居住用財産の3,000万円の特別控除

マイホームと土地を売却した場合は、売却益が3,000万円以内であれば税金がかかりません。
すでに住んでいない場合は、住まなくなった日から3年以内の年の12月31日までに売却することが条件となっています。
すでに建物を取り壊している場合は、取り壊した日から1年以内に土地譲渡契約を締結していることも条件に加わります。
また、災害などで住居を失った場合の土地の売却もこちらに当てはまります。
親子や夫婦などの近親者に土地を売却した場合や、建物を取り壊してから貸駐車場など使用していた場合は対象外となってしますので注意しましょう。

土地の所有期間が10年を超える場合の特例

所得税と住民税について説明した際に、土地の所有していた期間が5年以上か5年以下かによって税率が変動することをお伝えしましたが、土地の所有期間が10年を超える場合はさらに低い税率が適用できます。

  所得税 住民税
課税長期譲渡所得金額が
6,000万円以下の場合
10% 4%
課税長期譲渡所得金額が
6,000万円超の場合
15% 5%

課税長期譲渡所得金額は以下の計算式で求めらえる金額を指します。
課税長期譲渡所得金額=(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除

所有期間は、売却した日ではなく売却した年の1月1日時点になるため注意が必要です。
また、復興特別所得税も6,000万円以下の場合は0.21%、6,000万円超の場合は0.315%課税されます。

先述した「居住用財産の3,000万円の特別控除」とは併用可能となるため、所有期間を確認し節税対策に有効活用しましょう。

平成21年・22年に取得した土地の売却による特例

以下の期間で土地を譲渡している場合は、譲渡所得の金額から控除を受ける事が可能です。
なお、この控除は最大1,000万円までとなっています。

取得した期間 譲渡した期間
平成21年1月1日から12月31日 平成27年以降に譲渡
平成22年1月1日から12月31日 平成28年以降に譲渡

こちらの特例を受けるためには、相続、遺贈、贈与などにより取得した土地は対象外となってしまうため注意しましょう。

公共事業などのために土地を売った場合の特例

公共事業のために買い取りなどの申し出があり土地を売却した場合は、譲渡所得から控除額がかなり大きい5,000万円を控除することができます。
その場合は、「申し出があった日から半年間の間に申し出を受けた本人が売却を行う必要がある」という条件があります。
そのほか「売る土地は固定資産であること」という条件があります。

相続した土地の売却にかかる税金は?

相続した土地のイメージ

相続により取得した土地の売却を考えている方も多いかと思います。
その場合に課税される税金や減税措置についても気になりますよね。

相続した土地の売却の場合も同様に「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)」がかかります。

また、この場合の所有期間は元の所有者(被相続人)が所有していた期間になります。

相続した土地の売却で活用できる節税対策

【取得費加算の特例】
相続した土地の売却では、相続税額の一部を取得費とすることで、譲渡所得税の負担を軽減することができる「取得費加算の特例」が適用できます。
相続開始日の翌日から3年10ヶ月までに不動産を売却することが条件となります。

【相続空き家を取り壊した場合の3000万の特別控除】
相続した土地に空き家が立っている場合は、空き家を取り壊し更地にすることで3000万の特別控除を受けることができます。
ただし、適用には以下の条件を満たす必要があるため確認しておきましょう。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられていること
  • 区分所有建築物(マンション等)以外の建物であること
  • 相続してから売却するまで事業用や居住用として貸し出されていなかったこと
  • 相続の開始前まで、被相続人以外に住んでいた人がいなかったこと

相続した土地の売却にかかる税金や節税対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
相続した土地を売却したい!かかる税金や節税対策を分かりやすく解説

よくある質問

よくある質問のイメージ

ここからは、土地売却にかかる税金にあたってのよくある質問についてご紹介していきます。

土地購入時の書類を紛失しており、購入価格が分からない場合はどうする?

相続した土地や買い入れた時期が古いなどで、購入時の書類を紛失してしまい購入価格が分からずお困りの方もいるかと思います。
その場合は、売却価格の5%相当額を取得費として対応することになります。
しかし、その場合税金の金額が大きいものになってしまう可能性があるため以下の方法で購入時の金額が分からないか試してみると良いでしょう。

  • 不動産業者が発行した購入当時の価格が記載されたパンフレットやチラシを探す
  • 購入代金やローンの返済金額が記載された通帳を探す
  • 市街地価格指数を利用して取得費を計算する

【市街地価格指数とは?】
全国の主要都市にある宅地の調査地点の土地の価格を一般財団法人日本不動産研究所の不動産鑑定士が価格調査を行い指数化したものになります。
ただし、法律で認められているものではないため必ずしもすべての土地の取得費計算に利用できるわけではありません。

相続した土地を複数人で分けた場合、それぞれにかかる税金はどうなる?

相続した土地を複数人で分ける場合には「換価分割」と「代償分割」の2つの方法があります。

換価分割とは、土地を相続人全員が共有している状態で売却をし、その代金を法律上の相続分に応じて分配する方法です。
この換価分割で相続した土地を売却する場合に各相続人ごとに譲渡所得税が課税されます。

代償分割とは、代表して1人が相続人として土地を取得し、売却した代金を代償金として他の相続人に支払う方法です。
そのため、譲渡所得税は代表の相続人にのみ課税されます。
 

土地売却にかかる税金には節税対策をしよう

節税対策をするイメージ

土地の売却にかかる税金の種類と金額や納税時期についてご紹介してきました。
必要な税金は、それぞれ納税のタイミングが異なるのでしっかりと把握しておきましょう。

また、節税対策においても様々な方法があるため、自身の売却を考えている土地がどの特例に当てはまるか確認しておくと良いでしょう。

土地の売却には税金がかかりますが、事前に節税対策を行い納税の準備をしておくことが大切です。

土地の売却方法について詳しく知りたい方は、こちらの2つの記事もおすすめです。
土地売買の流れはこれを見れば完璧!土地売買の費用や注意点について
土地売却には何が必要?かかる費用や価格の決まり方を徹底解説!