不動産を売却したいと考えていても「売却から引き渡しまでの流れがよく分からない」「費用や税金はどのくらいかかるのか」と不安に思う方もいらっしゃるのでないでしょうか。

ここでは中古住宅の売却から引き渡しまでの流れや売却にかかる費用や税金、売却をする際の注意点などについて解説していきます。

この記事の目次

中古住宅の売却から引き渡しまでの流れ

中古住宅売却から引き渡しまでの流れのイメージ

中古住宅の売却を考えた際、売却から引き渡しまでどの様な流れで行うのでしょうか?
ここからは、中古住宅の売却から引き渡しまでの流れをご紹介していきますよ。

①相場を調べる

中古住宅の売却が決まったら、まずは、大体の相場を調べましょう。

なぜなら、大体の相場を事前に知っているだけで、実際にどのくらいで売却出来るのか、予測がつきます。

また不動産会社に、価格の希望を相談しやすくもなります。

相場を調べるには、不動産会社のサイトなどから、近隣で条件が同じ様な、物件を見る方法や国土交通省の「土地総合情報システム」から調べる方法などがあります。

この「土地総合情報システム」は、不動産の取引価格や都道府県地価調査の価格などを検索する事が出来るサイトです。

参照:国土交通省ウェブサイト
 

②仲介してもらう不動産会社を探す・査定を依頼する

大体の相場を調べたら、仲介を依頼する不動産会社を探しましょう。

一括査定サイト」を利用すると複数の不動産会社に同時に売却査定依頼を出すことができるので効率的に不動産会社を探すことができます。

不動産会社が見つかれば査定を依頼しましょう。

実際に物件を見て査定をしてもらう訪問査定では実際の取引価格に近い査定額を知ることができるのでオススメです。

物件の査定については複数社に査定を依頼することが重要です。

複数社に依頼することで価格の幅を知ることができ、結果として物件の相場を知ることができます。

相場を知らないまま進めてしまうと、なかなか売れない場合や、損をしてしまうことがあります。

③不動産仲介会社と媒介契約を締結する

信頼できる業者が見つかれば媒介契約を締結します。

媒介契約とは、自分の不動産の売却を不動産会社に依頼する契約になります。

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任契約」の3種類があり、販売開始の価格を決め、どのように売却をしていくのか、売却活動の報告をいつするのかなどが3種類で異なります。

それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で物件の状況や売却期間を考慮して契約するとよいでしょう。

尚、媒介契約は必ず3ヶ月以内の契約期間であり、気軽に解約可能なので、合わないなと思ったら解約し、別の会社に依頼しましょう。

つまり重く考えずに売却活動が開始できます。

一般媒介契約とは?

  • 複数の不動産会社との契約が可能
  • 自分で買い手を見つけた場合、不動産会社の仲介なしで販売が可能
  • 契約期間の規定はなし(行政指導に従って3ヶ月が一般的)
  • 販売状況の報告頻度の規定はなし

メリット

  • 複数の不動産と契約が可能なので、不動産会社が競争し、スムーズに売却が決まる可能性もある。
  • 自分で買い手を見つけた場合は、他の不動産会社の仲介なしで販売出来る

デメリット

  • 販売状況の報告頻度の規定が無いため、販売状況がすぐには分からない事もある。
  • 複数の不動産会社と契約が出来るので、あまり需要の無い不動産だと積極的に販売活動をしてくれない事もある。

専任媒介契約とは?

  • 不動産会社との契約は1社のみ
  • 自分で買い手を見つけた場合、不動産会社の仲介なしで販売が可能
  • 契約期間最長3ヶ月
  • 販売状況の報告頻度14日に1回以上

メリット

  • 自分で買い手を見つけた場合は、不動産会社の仲介が無くても販売が可能
  • 専任媒介契約に比べて制限はゆるい

デメリット

  • 契約期間の間は他の不動産との契約は出来ない

専属専任契約とは?

  • 不動産会社との契約は1社のみ
  • 自分で買い手を見つけた場合も不動産会社の仲介が必要
  • 契約期間最長3ヶ月
  • 販売状況の報告頻度7日に1回以上

メリット

  • 販売状況の報告頻度が多いので、現状をすぐに把握しやすい。

デメリット

  • 3種類の中で一番制限が厳しい。
  • 不動産の対応に不満があっても3ヶ月間は、他社の不動産と契約は出来ない

④売却活動をはじめる

媒介契約が締結すると、不動産会社が広告やホームページで購入検討者を募ります。

また売買価格を決定する際のポイントとして、購入希望者から値下げ交渉があることは一般的なため、最初に設定する価格を少し高めにしてもいいかもしれません。

購入検討者から問い合わせがあれば内覧に案内し、なにか希望があればお互いが納得できるよう交渉を進めます。

内覧は、いつ入るか分かりませんので基本的には毎週土日等のお休みの時はスケジュールを空けておいて、購入希望者の内覧要望に応えられるようにしておく必要があります。

無事に交渉が成立すると、購入検討者から買付(購入申込書)が不動産会社を経由して提出されます

これには購入検討者の購入条件が記載されているため、納得できるかどうか判断して、受諾するか決定します。決定すれば、契約の手続きに進みます。

➄不動産売買契約を結ぶ

不動産会社が作成した重要事項説明書と売買契約書に基づいて契約を進めます。

重要事項説明書は、買主に対して説明するためのものなので必ずしも確認する必要はないですが、売主の立場として捺印する以上、契約書以外でもきちんと確認が必要です。

売却後のトラブルを避けるためにも売主・買主ともに内容についてよく確認する必要があります。

口約束はトラブルのもとです。

取り決めた内容が盛り込まれているか、うやむやになっている点はないか今一度しっかり確認しましょう。

また売買契約締結時、売主は手付金を受け取ります。

2022年から、重要事項説明書の説明をWebツールを使って説明できるようになりました。

不動産会社によって対応しているかどうかは違いますので事前に確認しておくと良いでしょう。

⑥残代金の受け取り、不動産の引き渡し

引き渡しでは買主から残代金の受け取り、登記手続き、抵当権の抹消手続き、鍵の受け渡し、設備備品の説明などを行います。

また公共料金や住宅保険の解約も忘れないようにしましょう。

契約後に売主が行う必要があるものは多くはないですが、登記の住所変更などが必要になる場合や、住み替えで新規に物件購入を行う際などは、銀行との調整が必要な場合などが考えられますので、自分が行うべき作業は不動産会社に確認を取っておいてください。

引き渡し時には様々な書類や手数料が必要になってきます。

不備があった場合トラブルになることもあります。担当者の指示通りに余裕を持って準備しましょう。

⑦確定申告をする

無事に不動産を売却出来た場合は、忘れずに確定申告をしておきましょう。

不動産の売却で利益が出た場合は、譲渡所得にかかる税金が発生するので、必ず確定申告をしておく必要がありますよ。

反対に、不動産の売却で損失が出た場合でも、税金の優遇措置を利用出来る場合もあります。

その場合でも確定申告をしていないと、優遇措置を受ける事が出来ません。

不動産売却にあたっての確定申告の仕方については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。

参照:不動産売却の確定申告は必要?不要なケースと必要書類も解説!

中古住宅売却にかかる費用・税金

中古住宅売却の費用や税金のイメージ

ここまで不動産を売却する際の流れについて述べてきました。
では実際に中古住宅を売却する際に発生する費用や税金について解説していきます。

1.仲介手数料

仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬で、宅地建物取引業法で不動産会社が受け取れる上限額が定められています。

仲介手数料は売買価格によって上限額が異なっており、下記の通りになります。

売買価格 仲介手数料
200万円以下の場合 売買価格×5%+消費税
200万超~400万円以下の場合 売買価格×4%+2万円+消費税
400万円超の場合 売買価格×3%+6万円+消費税

また査定にかかった代金や広告宣伝費を別途請求されることはありません。

仲介手数料を支払うタイミングとして、媒介契約を結んだときに支払うのではなく売却が成立した際に成功報酬として支払います。

半額は買主と売買契約を結んだとき、残りの半額は物件の引き渡し時に支払います。

2.印紙税

印紙税とは売買契約書に貼付する印紙のことで、定められた金額の収入印紙を貼付し、消印(印鑑などによる割印を指します)することにより納税したとみなされます。

印紙税額は売買価格によって決められています。

また売買契約書は売主用・買主用に2通必要となりますが、それぞれ1通分ずつ負担するのが通常です。

3.登記費用

売却する物件にローンが残っている場合、抵当権を抹消する登記費用が発生します。

抵当権抹消には登録免許税のほかに司法書士に支払う報酬が必要であり、費用は不動産の価値にもよりますが一般的に1万~5万円程度が相場となっています。

所有権移転登記費用は買主の負担となります。

4.抵当権抹消費用

住宅ローンを既に完済している方は、事前に抵当権の抹消手続きを行っておきましょう。

抵当権の抹消を行う方法は、自分で行うか、司法書士に依頼するかの2つがあります。

司法書士への報酬はおよそ1万~3万円ほどで、報酬には消費税がかかります。

5.譲渡所得費用

不動産を売却した場合に、利益が発生した場合、譲渡所得税というのがかかります。

この、譲渡所得税は取得した際にかかった費用と売却にかかった費用を、売却金額から差し引き、譲渡所得がプラスになった場合に課税されます。

譲渡所得は、その不動産を購入した時や売却した時にかかった費用を差し引いた金額です。

単純に売却価格全額に課税されるわけではないので安心してください。

譲渡所得=譲渡価額(売却価格+税金精算額)-(取得費+売却費用)

この譲渡所得税に関しては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。

参照:不動産売却時にかかる税金の計算方法、支払時期を解説

6.その他

上記以外にも、状況によって下記の費用がかかる場合があります。

◆測量費 30万円~50万円程度
土地面積や境界が曖昧な場合、測量や境界確定が必要です。

また一等地に関しても価格に大きな差が出るため測量をおすすめします。

◆解体費 100万円~300万円程度
解体費は大きさや構造によって変わりますが、築年数が古い建物の場合、更地にすることを条件に売却することが多いです。

その場合一般的に建物の解体費は売主が負担します。

◆廃棄物の処分費 10万円~50万円程度
残置物(置きっぱなしで残された荷物)がある場合、処分が必要となります。

処分費用は量や物によりますが、残置物の処分は「産業廃棄物収集運搬業」の認可を受けた業者でないと行うことができません。

◆ハウスクリーニング費 1万円~15万円程度
状況によってはハウスクリーニングやリフォームが必要な場合もあります。

ただしリフォームについては高額なうえ、古い家をできるだけ安く買って自分好みにリフォームしたいという買い手は意外に多くいるため売却前に行うのは注意が必要です。

また上記以外にも居住中に売却した場合は、引き渡しをするまでに引越しをする必要があります。引越しにかかる費用は時期や荷物の量にもよりますが、10~30万円程度必要です。
 

中古住宅の価格はどのように決まるのか?

中古住宅価格のイメージ

ここまで不動産売却における流れや費用・税金について述べてきました。

それでは実際に査定を依頼したときに不動産会社に見られるポイントについて解説していきます。

1.建物の状況(構造・築年数・間取り)

・構造
構造は重要な確認事項であり、建物には耐用年数が設定されています。

耐用年数はプレハブや木造では短く設定されており、鉄筋では長く設定されています。
また耐震・防火性能などもチェックポイントのひとつです。

・築年数
築年数が経っているほど査定額は低くなるのが一般的です。
売却を考えている場合少しでも早いほうが評価への影響は少ないでしょう。

またリフォームや修繕を行っている箇所がある場合はしっかり不動産会社に伝えましょう。

・間取り
住みやすい間取りかは重要なポイントとなります。

部屋の数や広さ、十分な収納、生活の変化に対応しやすい間取りか、といった点でこだわりがある場合は是非アピールしましょう。

2.生活環境(日当たりや風通し・景観)

・日当たりや風通し
日当たりや風通しのよさは査定額がアップするポイントとなります。

リビングが南向きか?接道部分が南向きか?など日当たりは非常に重要な要素になります。

南向きや周辺に日陰の原因となる高い建物がなく日当たりがいい場合、プラスポイントとなるでしょう。

また風通しの良い建物は洗濯が乾きやすいことやカビが発生しにくいことから人気です。

・景観
ベランダから海や山が見える、高台に建っている等眺望の良さも付加価値のひとつとなるでしょう。

3.土地の状況

土地の広さや形などもポイントの一つです。
特に、単価が高くなる傾向の土地は

広い土地である
・マンション用地に適した土地である
・間口が広い長方形のようなと整った形である

一方で単価が低くなる傾向の土地は

分譲一戸建てに適した土地である
・間口が狭く細長い形である
いびつな形である
などの土地になります。

4.接道状況

売却予定の住宅に面している前面道路の幅も売却価格に大きく関わってきます。

なぜ、前面の道路の幅も大事なのかというと、主に以下の様な理由があるからです。

前面道路の幅によって建物の大きさの限度が決められている事
・家の前の道路の幅が狭いと、車庫入れが大変など欠点になってしまう事
 

5.周辺環境(立地・近隣施設)

周辺に駅やバス亭があり交通アクセスが良い点や近くにスーパーやコンビニなどの商業施設、学校、公園などが点在していると査定の評価は高くなるでしょう。

特に駅から5分、10分、15分で大きく差が出ます。

立地や周辺の生活環境は買主にとっても重要なポイントであり、査定においてもアピールポイントとなるでしょう。

6.周辺のトラブル(異臭・騒音・振動問題など)

住宅そのものに問題がない場合でも周辺の環境によって査定額に影響がでる場合があります。

騒音や異臭、振動などの問題はマイナス要素になりやすいでしょう。

マイナス要素は不動産会社に伝えにくいものです。

しかし売却後に問題が発覚した場合、契約不適合責任を問われ、売主は責任を負う義務があります。

売却後のトラブルを防ぐためにもマイナスポイントもきちんと担当者に伝えましょう。

7.施工したハウスメーカー

売却する物件が、大手のハウスメーカーが施工していた場合、信頼性も高くなるので、売却価格が高くなる傾向にあります。

反対に、中小企業などの場合は、信頼性を証明する必要もあります。
 

8.住宅トラブル(雨漏り・シロアリ被害など)

雨漏りやシロアリ被害は長年生活を送っていても気づかないことが多いです。

そのまま引き渡してしまうと売主側の契約不適合責任を問われる可能性が高く、売主側が修繕費用を負担しなければならなくなります。

また過去に雨漏りやシロアリ被害に遭い、修繕が完了していた場合についてもきちんと不動産会社に伝えておきましょう。

売主は客観的な目線で準備しておくことが大切

ここまで述べてきたポイント以外でもバスルームやトイレなどの水回りがカビだらけの場合やキッチン周りの油汚れが目立つ場合、査定額に大きな影響はないものの印象が気になってしまいます。

住宅の査定前には手の届く範囲で掃除をするか、予算が許せば部分的にハウスクリーニングを依頼することもおすすめです。

不動産売却は大きな金額が動くため売却する物件の価値を判断するだけではなく、売主の人柄も査定時にさりげなくチェックしている可能性があります。

売主は客観的な目線で準備しておくことが大切です。

中古物件を売却する際の注意点

中古住宅売却の注意点のイメージ

中古住宅を売却したあとに売主が気づいていない不具合が見つかることがあります。住宅は買主にとって大きな買い物です。

ここからは中古住宅を売却する際に起こりがちなトラブルと対策について解説していきます。
 

契約不適合責任とは

契約不適合責任は契約により引き渡したものについて品質や種類、数量などが契約内容と異なった場合に売主が買主に対して責任を負うというもので、2020年4月の法改正によって、瑕疵担保責任に代わり内容が変更となっています。     

主な契約不適合としては「雨漏り」や「シロアリ被害」などがあげられ、瑕疵担保責任よりも売主側の責任が重くなっているため売主は注意が必要です。

契約不適合責任では契約内容と異なるものを売却した場合、責任に問われます。しかし既に買主に了承済であり、売買契約書に記載があれば契約不適合責任に問われないケースが多いです。

万が一売買契約書に書かれていない場合は、売却後に修繕費の請求を受ける場合や契約の解除を求められる可能性があるため売却前に物件についてしっかり把握しておくことが重要です。

追完請求

契約不適合責任では買主が契約内容と適合しない場合、売主に追完請求(修補請求)をすることができ、修繕のための請求をすることができます。

もし売主が不具合などへの対処をしないときは、代金減額請求(代金の減額を請求すること)や催告解除(契約を解除すること)が認められています。

また契約不適合によって契約の目的が達成されない場合無催告解除という権利も認められています。

無催告解除

契約不適合によって契約の目的が達成されない場合無催告解除という権利も認められています。

損害賠償請求について旧民法の瑕疵担保責任では売主の無過失責任でしたが、契約不適合責任では売主に帰責事由がない限り、損害賠償は請求されません。

そのため契約不適合責任では、売主が故意に隠した不具合でない限り、買主は損害賠償請求をすることができません。

売主ははじめから住宅の状態を正確に伝えておきましょう。

1年以内であれば売主に請求権利を行使する事が可能

契約不適合責任では買主は不適合を知ってから1年以内に売主に通知すれば請求権利を行使することが可能です。

さらに通知期間を設定していない場合、最大10年間は契約不適合の責任を負うことになるため、買主が通知できる期間を設けて契約を結ぶのが一般的であり、期間としては瑕疵担保責任と同じ3ヶ月が多いです。

契約不適合責任については、売主と買主の両方が把握し理解しておくことが重要といえるでしょう。

参照:不動産売却における契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いを解説

心理的な瑕疵トラブル

対象物件で過去に自殺や殺人事件があった場合や、近くに暴力団事務所があるなど居住するにあたって心理的な抵抗を感じる恐れがある状態をいいます。

心理的な瑕疵は近年増えているトラブルのひとつでしたが、告知に係る判断基準の曖昧さが問題視されており、2021年10月には国土交通省から「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が公表されています。

ほかにも、法律的な瑕疵には住宅が建っている土地に建築制限がかけられていた場合があります。買主は自由に土地を利用できないことになるので、増築などの際にトラブルになってしまいます。

環境的な瑕疵トラブル

近所の騒音や悪臭、振動など環境面で快適に暮らすことが阻まれる恐れがある場合を指します。これも住み慣れている人には気にならないことが考えられるので、客観的な第三者の判断が必要でしょう。

これらは新民法においても契約内容と適合しない場合、修繕費用の請求や契約解除を求められる可能性があるため売主が把握していれば、契約書に明記しておくことが重要です。

また契約不適合責任では売主は不適合を知ってから1年以内に売主に通知すれば請求権利を行使することが可能です。

さらに通知期間を設定していない場合、最大10年間は契約不適合の責任を負うことになるため、買主が通知できる期間を設けて契約を結ぶのが一般的であり、期間としては瑕疵担保責任と同じ3ヶ月が多いです。

契約不適合責任については、売主と買主の両方が把握し理解しておくことが重要といえるでしょう。

参照:不動産売却における契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いを解説

軽視現金!告知書の重要性

中古住宅の売却後にトラブルにならないように「告知書」(物件状況確認書)があり、買主に住宅の詳しい情報を知らせることができます。

売買時には契約書や重要事項説明書などがありますが、これらのなかには記入されない内容を書くことができるのが告知書です。

契約不適合責任においても告知書にはトラブルを防止するために、住宅の物理的な瑕疵と心理的な瑕疵等も全て記入する義務があります。

売主は売却する住宅に不具合があることを隠さずに知らせておくことで、契約後のトラブルを防ぐことができます。

告知書に記入するべきもの

土地に関するもの
・地盤沈下や配管の状態
・境界線


建物に関するもの
・補修や収税の有無
・近隣の建設計画
・シロアリ被害状況

わかっていたのに記入しておかないと契約不適合責任を問われる可能性があるので注意が必要です。

告知書ではなく付帯設備表に記載すべきもの

ドアなどの建具や給排水設備などの不具合があれば、告知書ではなく「付帯設備表」に記入することになります。

告知書には住宅以外の設備までは記入できないので、不具合や故障している箇所があれば付帯設備表をつけなければなりません。

この付帯設備表に故障なしと書かれていれば、買主が入居するまで状態を維持することが必要です。

また中古住宅を個人間で売買する場合にも、トラブル防止のために詳しい情報を伝えるようにしましょう。

売主は中古住宅の不具合を伝えてしまうと買い手がつかないのではないかと心配になる場合があるかと思います。

しかし実際には、誠実に伝えなかったことでトラブルに発展する可能性が大きいです。

告知書と付帯設備表は売主がわかっている住宅の状態に関して記入されるものなので、ひとつひとつの項目について正確に伝えることが重要です。

解約手付やローン特約にも注意しておく

中古住宅の売買では、買主から売主に支払われる手付金があります。一般的に「解約手付」といわれるものですが、契約の際には注意が必要です。

手付金は住宅の売買契約が成立したという証拠のお金です。

重要なポイントは、もし売主・買主ともに何かの事情で解約するようなことになっても、手付金があることで損害賠償請求がされないということでしょう。

具体的には買主が自分の都合で契約を解約する場合には、手付金を放棄しなければなりません。反対に売主が自分の都合で契約を解約する場合には、手付金を倍返ししなければなりません。

手付金には、定められた金額はないのですが、一般的には5~10%程度が相場です。(手付金は宅地建物取引業法で20%までとされています)この手付金は、最終的には住宅の代金になります。

手付金の額が多すぎると解約する事態になったときには買主の損失が大きくなり、少なすぎると売主が手付解除しやすくなるので注意が必要です。

また中古住宅の契約に買主が「ローン特約」をつけている場合には注意が必要です。
 

ローン特約とは

買主がローンを組む際に、銀行などの審査に通らず住宅ローンを組むことができない場合に適用されるものです。

住宅の売買契約が解除されますが、売主は買主に手付金を全額返金しなければなりません。

売主は、契約の前の買付(購入申込書)提出時に、できるだけ買主の経済状態やローン特約の有無について確認することが必要でしょう。 

中古住宅など大きな金額の買い物をするときには、売買契約を慎重に行わなければなりません。契約に関わるさまざまな条件をしっかり確認することをおすすめします。
 

トラブルを未然に防ぐホームインスペクション

ホームインスペクションのイメージ

中古住宅は建ててから年数を経るごとに劣化していくため、売却の際には不具合の箇所を把握しておくことが大切です。

「ホームインスペクション」は専門家が中古住宅の診断を行うもので、主に目視で建物全体の状況を調べます。

改修箇所があれば指摘して、改修の時期や費用の目安を売主にアドバイスしてくれます。専門家に診断を依頼するメリットには、当事者では気づきにくいところを客観的に把握できることが挙げられます。

ホームインスペクションは、不動産業者が中古住宅を売却する際に利用される場合もあります。

ホームインスペクションでは、建物の外壁や屋根、室内のほか、床下なども診断の対象で、機材を使用し詳しく調査する場合もあります。

必要であれば部品や材料の劣化を調査したり、地震に耐えられる安全性を確認するための「耐震診断」も行ったりもします。

買主の目的に沿った多くの点検や調査を行うことになるのです。
ホームインスペクションは床下も対象

ホームインスペクションは、ある程度自分で行うこともできます。日頃から住んでいる住宅の安全性を保つためにも、できる範囲のホームインスペクションする習慣をつけるのもいいでしょう。  

建物内部の点検では、壁のふくらみや床の沈み、天井の雨漏りがないか目視で確認します。床下に水たまりがないか、点検口からの通風があるか点検することも重要です。基礎に異状があればひび割れや雨漏りになりやすく、屋根や雨どい、外壁の歪みやひび割れも点検しましょう。 

点検の結果、少しでも異変があれば専門家に修理を依頼することが必要です。

中古住宅の売却では、専門家に依頼してホームインスペクションをしっかり行うことでトラブルを未然に防ぐことが期待できるでしょう。

参照:失敗しない住宅売却のためのホームインスペクションとは

中古住宅の売却時に使える瑕疵保険もある

瑕疵保険のイメージ

個人間の売買が多い中古住宅には、予想しなかった不具合がトラブルのもとにならないように瑕疵保険に加入しておくこともオススメです。

瑕疵担保保険は「住宅瑕疵担保責任保険法人」が、専門の建築士による住宅診断を行い、合格すると加入することができます。です。国土交通省から指定された住宅専門の業者が保険の事業を行っているので安心して利用できます。瑕疵保険に加入している中古住宅は、買主にとって不具合があった場合にも修繕費用を保険でまかなうことができるため安心です。

瑕疵保険で補償されないケースには、台風や地震などの自然災害によるものや火災・落雷などがあります。

買主が不適切な使い方をしたために破損したと考えられるケースも瑕疵保険は適用されません。どのような場合には適用されて、適用されないケースは何か、万一に備えて保険内容をよく確認しておくことをおすすめします。

解約手付やローン特約にも注意しておく

売却が決まったら契約内容を確認のイメージ

中古住宅の売買では、買主から売主に支払われる手付金があります。一般的に「解約手付」といわれるものですが、契約の際には注意が必要です。

手付金は住宅の売買契約が成立したという証拠のお金です。

重要なポイントは、もし売主・買主ともに何かの事情で解約するようなことになっても、手付金があることで損害賠償請求がされないということでしょう。

具体的には買主が自分の都合で契約を解約する場合には、手付金を放棄しなければなりません。反対に売主が自分の都合で契約を解約する場合には、手付金を倍返ししなければなりません。手付金には、定められた金額はないのですが、一般的には5~10%程度が相場です。(手付金は宅地建物取引業法で20%までとされています)この手付金は、最終的には住宅の代金になります。

手付金の額が多すぎると解約する事態になったときには買主の損失が大きくなり、少なすぎると売主が手付解除しやすくなるので注意が必要です。

また中古住宅の契約に買主が「ローン特約」をつけている場合には注意が必要です。

ローン特約とは

買主がローンを組む際に、銀行などの審査に通らず住宅ローンを組むことができない場合に適用されるものです。

住宅の売買契約が解除されますが、売主は買主に手付金を全額返金しなければなりません。

売主は、契約の前の買付(購入申込書)提出時に、できるだけ買主の経済状態やローン特約の有無について確認することが必要でしょう。 

中古住宅など大きな金額の買い物をするときには、売買契約を慎重に行わなければなりません。契約に関わるさまざまな条件をしっかり確認することをおすすめします。

参照:マンション売却が決まった!契約内容は確認していますか?

よくある質問

中古住宅売却のよくある質問のイメージ

ここからは、中古住宅の売却に関わるよくある質問について、解説していきますね。


劣化している箇所があるがリフォームは売主がするべきか?

売却しようと思っている家に不具合や、劣化している部分があると、リフォームをする必要があるのか気になりますよね?

ですが、不具合や劣化している箇所があっても、基本的に、売主がリフォームを行う必要はありません。

リフォームの費用が高額になってしまうと、せっかく売れても思うような利益にならないかも知れません。

また、フルリノベーションを目的に購入を考えている方もいるので、必ずしも、リフォームは必須ではありません。

ただ、水回りの劣化や、壁や天井のシミなど、最低限の出費で直せる箇所は、直してから売却した方が、売却価格が高くなる可能性もあるので、出来る範囲で最低限リフォームをしておくのはおすすめです。

中古物件が中々売れない時はどうすれば良い?

せっかく売り出した物件が中々売れないと困ってしまいますよね?

中古の物件が売れない時は、

・価格を見直してみる
・不動産会社に直接買い取ってもらう
・アピールポイントを見つける
などをしてみましょう。

まずは、今売り出している不動産の価格を見直してみましょう。

相場よりもあまりにも高く設定しているのであれば、やはり中々買い手も付きません。今一度不動産会社と相談して適正の価格に変更してみましょう。

さらに、自分でアピールポイントを探してみるのも一つの方法です。

例えば、売却予定の物件が駅から遠いなどの場合は中々売れにくい事もあります。

その場合、「地域バスがたくさん走っている」「道が整理されているので、自転車も使いやすい」など、自分なりにマイナス部分を補える様なアピールポイントも探してみましょう。

また、直接不動産会社に買い取ってもらうという方法もあります。

物件自体に需要が無い場合は、いくら待っても売却の見込みは無いかも知れません。

不動産会社によっては、「買取保証制度」があるので、最終的に買い取ってもらうのも一つの方法です。

※買取保証制度とは
一定期間売れなかった際に、あらかじめ、決めていた額で不動産会社が買取する売却方法の事。

中古物件のリフォーム費用は取得費に含まれるのか?

中古物件を購入したのをきっかけに、リフォーム。

その後売却する予定という方もいるのではないでしょうか?

先ほども紹介しましたが、不動産を売って利益が発生した場合「譲渡所得」が発生します。

この譲渡所得を求める際に取得費も重要になってきます。

「取得費」とは売却予定の不動産を購入した時の代金や、建築代金などの事です。

では、この取得費には、リフォーム費用などは含まれるのでしょうか?

結論から言うと、リフォーム費用も取得費として含まれます。

その他取得費と含まれるものは、以下のようなものがあります。

  • 購入時にかかった税金(不動産取得税、印紙税、登録免許税など)
  • 仲介手数料
  • 設備費
  • 一定借入金利子
  • 整地費
  • 建物の取り壊し費用
  • 測量費

まとめ

中古住宅の売却には専門的な知識が欠かせません。

特に個人間で行われる売買では、トラブルを防ぐために事前に知っておくべきポイントを押さえておくことが大切です。

長年住んでいても住宅や土地などの不具合に気づかないことも多いので、売却する前にはホームインスペクションを利用することもおすすめです。

住宅は劣化していくものですが、日頃から外回りや住宅内部の点検を欠かさす補修していくことで、中古住宅を良い状態に維持できます。

売却では売主と買主の双方が納得できる契約内容か、よく確認して慎重に契約を結ぶようにするといいでしょう。