都市計画法の目的とは、「都市が健全に発展すること」によって「その都市で暮らす市民が、健康かつ文化的な生活を送ること」です。その背景・概要はどういったものなのでしょうか。

都市計画法

市民の健康な生活のために

都市計画法の第一条においては

この法律は、都市計画の内容及びその決定手続き、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする

という記載があります。

ただ、これだけでは分かりにくいので、もう少しポイントを絞った概要を解説します。先ほど述べたように、都市計画法の最終的な着地点は市民の健全な生活にあります。

それを達成するためには、都市の発展・公共福祉の増進、つまり人のための施設・設備を整備することが求められます。そして、そうした施設等の基礎となるのが「土地」であることは言うまでもないことです。

要するに、都市計画法というのは「市民のための最適な土地利用・土地活用のために制定された法律」という面があるのです。また、施設整備や市街地開発などにおける土地の利用においては、適正な法的手続きが欠かせません。

永続的にその都市が発展し続けるためにも、後々トラブルとなるような要素はあらかじめ解決しておくべきです。都市計画法においては、土地を利用した事業の手続きにおいて必要な事項が定められていますので、法規を適用することで事業を計画通りに進めることが可能となるのです。

都市計画法とは市民のための最適な土地利用・土地活用のために制定された法律

利用目的における制限

さらに、法的な手続きに関する特徴的な要素として「利用目的における制限」が挙げられます。

土地は、その所有者が自由に利用目的を勝手に変更できないという特性を持っています。農地であったり、宅地であったり、それぞれの法律で用途が定められているのです。

都市計画法は、このように土地の用途を制限する法律のひとつであり、都道府県知事の許可なくしては開発行為が行えないようになっています。もし無許可で開発を行った場合、法令に定められた厳しい罰則が適用されますので、事前の許可は必須です。

都市計画法の概要

都市計画法は、罰則や雑則などを除くと、大きく分けて以下の5つに分かれています。

第一章・総則

都市計画法における目的、理念、責務、定義などについてだ。ここで都市計画における前提を明確にしている。また、既に都市を形成していてさらなる発展を目指す「都市計画区域」と、都市はないもののまずは土地利用の整備を行う必要のある「準都市計画区域」という区分が定義づけられています。

第二章・都市計画

都市計画における内容、決定、変更についてだ。例えば、都市計画を行う区域を定めるものであったり、都市計画において定めることのできる施設等や、都市計画を定める者・案の作成と決定…という内容が記載されています。

第三章・都市計画制限等

開発行為における規制、開発における建築に関する規制などについてだ。どのような都市計画事業を行う際に、あらかじめ許可を取得しなければならないかという内容が定められています。また、逆にどのような基準に沿っていれば許可が得られるか(都道府県知事が許可をするか)という事項についても定められています。

第四章・都市計画事業

都市計画事業における認可、施行などについてだ。具体的な都市計画事業における申請の方法、添付する資料等が定められています。

第五章・社会資本整備審議会の調査審議等及び都道府県都市計画審議会等

都市計画に関する事項を審議会について定めたものである。