不動産売却にあたって重要な要素のひとつが価格設定です。相場より高すぎても安すぎても、満足できる不動産売却にならない可能性があります。では相場とはどのように調べるのでしょうか。市場価格や公的機関が公開している価格などを参考にして、土地の相場を算出できます。

相場の調べ方や不動産売却成功のポイントをご紹介します。  

相場はどうやって決まる?地価公示ってなに?

土地の相場を知るには、大きく分けて2つの方法があります。 1つ目は近所の似たような土地の売買価格、つまり実勢価格を知ることです。2つ目は公的機関が公表している価格を参考にすることです。

実勢価格

1つ目の実勢価格を知るためには、国土交通省が公表しているアンケート結果を参照する、仲介業者の販売価格をチェックするという2つの方法があります。国土交通省のデータは実際に売買された価格を知れるため参考になりますが、地域によってはデータが不十分なケースがあります。

仲介業者の販売価格については、実際の売買の場面ではより低い価格で取引される傾向があることを覚えておきましょう。

公的機関が公表している価格

2つ目の公的機関が公表している価格としては、国土交通省による公示地価、都道府県による基準地価があります。公示地価と基準地価はすべての土地が対象というわけではなく、標準的な土地とみられる「標準地」の価格が公表されます。

地域によっては公示地価と基準地価の標準地がずれていることがありますが、知りたい土地に近い条件の標準地を選ぶとよいでしょう。

注意点

公示地価と基準地価の金額は、ともにおおむね市場価格と近しいといわれていますが、いくつか注意しておきたい点もあります。年1回だけしか公表されないため、実際のトレンドから遅れる傾向があること、売りたい土地が標準地と条件が異なれば実際の売買価格に差がつく可能性があることです。

このようなデメリットはありますが、公的機関が算出した数値であるため信頼性は高いと言えるでしょう。  

土地の価格はネットで調べられる!おすすめの相場サイト

ネットで土地価格は調べられる

土地の相場はインターネットでも調べられます。実勢価格を知るためには、国土交通省が不動産購入者に実施したアンケート結果を参照してみましょう。参照サイトは「国土交通省土地情報総合システム」の不動産取引価格情報検索ページです。

トップ画面の「種類を選ぶ」から、土地・農地・林地のどれかを選択します。宅地、土地と建物、中古マンション等という選択肢は建物価格も含まれるため避けましょう。そして地図もしくは「地域を選ぶ」ボックスで売りたい土地の近辺を検索します。売りたい土地の近所のデータが見つかれば参考にしてみてください(※1)。

続いて公示地価と基準地価を知るためには「国土交通省標準地・基準地検索システム」の国土交通省地価公示・都道府県地価調査ページを活用しましょう。都道府県・市区町村を選択するか、自分で詳細な地域名を入力した上で、ボックスで検索対象を絞ります。ボックスで選べるのは、公示地価と基準地価のどちらを検索するか(両方検索も可能)、調査年、用途区分です。

さらに地価の上限と下限を設定して検索する方法と、地価の制限をせず該当地域すべての公示地価・基準地価を検索する方法とがあります。実勢価格がわかる「土地情報総合システム」も公示地価と基準地価がわかる「標準地・基準地検索システム」も、価格は1平方メートルあたりで算出されています(※2)。

売りたい土地の相場を計算するためには、これらのサイトから確認できた価格に土地の広さを乗じましょう。

※1. 国土交通省土地情報総合システム
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

※2. 国土交通省標準地・基準地検索システム
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=0&TYP=0

ネットにない!自分で相場を知る方法

もし売りたい土地の近所の実勢価格や公示地価、基準地価がネットになかったら、自分の足で相場を調べてみましょう。仲介業者に査定してもらう方法と、市区町村役場で「固定資産評価証明書」を発行する方法とがあります。

仲介業者に査定依頼すると、土地の詳細な条件をもとに現実的な価格を提示してくれるというメリットがあります。しかし、業者によって査定価格にばらつきがあるため、複数の業者に依頼したほうがよいでしょう。また、一番高い査定額をつけてくれた業者に飛びついても、土地が売れなければ徐々に価格は下げられてしまいます。 各業者に査定額の根拠や売り出し方法をしっかり聞くようにしましょう。

もし「まだ仲介業者に声をかけるのは早い」と考えるならば、役場で発行される「固定資産評価証明書」から土地の価格を推定しましょう。固定資産評価証明書は、固定資産税を算出するための基準となる固定資産(土地、建物など)の評価額が記載されています。土地の評価額は、公示されている価格の70%程度に設定されていることが一般的です。

そのため、評価額を0.7で割れば、土地の相場がおおむねつかめるでしょう。ただし、仲介業者に査定依頼するにせよ、固定資産評価証明書を参考にするにせよ、実際に土地を売り出す場合には、必ずしもシミュレーション通りの価格にはならないことも覚えておきましょう。  

不動産売却を成功させる3つのポイント

不動産売却を成功させるためには3つのポイントがあります。

  1. 土地の現況を把握する
  2. 売却費用を理解しておく
  3. 納得できるまで仲介業者と交渉する

この3点です。

土地の現況については、トラブルの代表例と言えるのが土地の境界問題です。

自分が認識している土地の境界と登記上の土地の境界が異なれば、売買の際に隣家や購入希望者とトラブルになってしまいます。土地の境界には目印の「境界標」が設置されていることが一般的ですが、もし設置されていない場合は土地家屋調査士に測量してもらい境界標を設けておきましょう。

そのほかにも、相続登記ができておらず故人が土地の名義人になっているケースや、土地に抵当権が残っている、つまりローンが残っているため買い手がつかないケースなどがあるため、土地の現況についてはしっかり確認しておき、問題を取り除いておくようにしましょう。

土地が売れたお金はもちろん売主の収入になりますが、売却のための費用もかかるため、収入と支出を合わせて売却計画を立てる必要があります。

売却費用としては、仲介業者に支払う仲介手数料、土地を売ったことで発生する所得(譲渡所得)にかかる所得税、売れる状態にするための土地整備にかかる費用などが挙げられます。土地を売るにあたっては、仲介業者とよく相談しながら戦略を立てることが大切です。

安くてもいいので早く売りたい、なるべく高く売りたいなどの希望を伝えながら、販売戦略を練っていきましょう。土地の価格や仲介手数料などに疑問があれば、納得できるまで確認することも大切です。  

【不動産売却でお世話になる!土地家屋調査士とはどんな仕事?】

不動産一括査定が便利でカンタン

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不動産売却にあたっては、相場を知ったうえで仲介業者とよく相談しながら売却活動をすることが欠かせません。しかし、どのように仲介業者を選べばよいか分からないという人もいるのではないでしょうか。そんなときに活用したいのが不動産一括査定サイトです。

不動産一括査定サイトは、不動産売却希望者が不動産情報と個人情報を入力すると、適した不動産会社が自動的に複数マッチングされ、その不動産会社に一括で査定依頼が行えるというサービスです。不動産会社側から受け取る紹介料をもとに運営されているため、不動産売却希望者は無料で利用できます。

不動産一括査定を活用すれば、これまで1件1件不動産会社を渡り歩いて手続きを行わなければいけなかったところが、オンラインで一括手続きできるようになるというメリットがあります。また、査定価格を一括して比較できるため、スムーズにだいたいの適正価格を把握でき、相性のよい不動産会社を見つけることができるでしょう。

一方でデメリットとしては、不動産一括査定サイトに登録していない業者にはアクセスできない点や、質の悪い業者にあたってしまう可能性がある点が挙げられます。サイトを活用しつつ、地域密着型の不動産会社など顔の見える不動産会社についても調べ、幅広く比較してみるとよいでしょう。

まとめ

不動産売却を行うためには、まず土地の相場を知ることが大切です。相場よりあまりに高いと買い手がつきづらく、あまりに安いと損失のもとになってしまいます。実勢価格や公示地価、基準地価などをチェックしながらだいたいの相場をつかんでおきましょう。

また、信頼できる仲介業者と出会うこともポイントです。不動産一括査定サイトを上手に活用しながら、効率的に査定や仲介業者の吟味をしてみましょう。