不動産投資には初期費用が必要です。税金や手数料、保険などの費用があり、すべてを把握するのは大変だと感じることもあるでしょう。しかし、初期費用について知ることは安定した家賃収入を得るために必ず越えなければいけないハードルです。

初期費用には、売買形態によっては発生しない費用もありますし、節約が可能な費用もあります。できるだけ不動産投資の初期費用を抑えるための方法を詳しく見ていきましょう。

初期費用の目安は購入物件価格により異なる!

不動産投資を始めるときには、物件価格のほかに初期費用を準備しておかなければなりません。

初期費用とは、物件を購入する際に必要な手続きにかかる費用です。具体的には、仲介手数料があります。また、保険・登記費用・印紙税や不動産取得税などの税金が挙げられます。ローンを組んで物件を購入するときはローン事務手数料・物件の状態によっては室内の修繕にかかる費用もみておかなければならないでしょう。

不動産投資をはじめるなら物件価格と初期費用を用意!

総額どれくらいの金額が必要になるのか気になるところですが、目安としては購入した物件価格の6%~8%くらいです。たとえば、1,000万円の投資物件の場合、60万円~80万円程度を目安にしておきましょう。

初期費用は物件価格が高くなればなるほど、大きな金額が必要です。1億円の投資物件であれば一般的には600万円~800万円の初期費用が必要になります。ちなみに不動産投資の初期費用は、物件購入の際に支払う頭金は不動産価格の一部として扱われますので初期費用には含まれないことを覚えておくとよいでしょう。

初期費用にはどのようなものがあるの?節約できるポイントは?

不動産投資の初期費用の目安は物件価格の6%~8%ですが、具体的に詳しい内訳を紹介します。

仲介手数料

自分が住む物件を購入するときと同様に、投資物件も仲介手数料を支払う可能性が高いでしょう。

居住用と投資用で手数料がかわることはありません。購入する物件価格によって手数料が決まります。たとえば、200万円以下の物件を購入すれば仲介手数料の上限は税込みで5%です。

200万円~400万円未満の物件であれば4%+2万円、400万円を超える物件価格であれば3%+6万円の仲介手数料が最大かかるでしょう。しかし、この仲介手数料はあくまでも上限とされています。状況によっては割引してもらえる可能性もあります。

不動産登記費用

不動産を購入すると、所有権を売主から自分に移転しなければなりません。一般的には司法書士に依頼して所有権移転登記をすることがほとんどですが、その場合には10万円ほどの費用がかかることが予想されます。しかし、所有権移転登記をするとき売主が了承してくれれば司法書士に費用を支払わずに登記ができます。

たとえば、売主が知り合いであったり個人経営の不動産屋が売主であったりすると融通を利かせてくれることがあるでしょう。法務局に行くための交通費や手続きするための時間はかかりますが、自分で登記すれば少し節約が可能な費用です。

さらに、ローンで物件を購入するときは融資を受ける金融機関が不動産を担保にするために抵当権設定登記を行います。こちらの登記は自分で登記することができないため節約はできません。

登録免許税

無事登記が完了すると、税金が課されます。所有権移転登記、抵当権設定登記に対して登録免許税を支払う必要があります。登録免許税は不動産の登記を設定する際に課税される税金です。仮に所有権移転登記を自ら行ったとしても、支払わなければなりません。計算方法は土地・建物に対しそれぞれ1.5%の税金がかかります。

ローン事務手数料

現金で投資物件を購入するときには必要ない費用です。

そのため、物件を現金購入することでローン事務手数料分を節約できるでしょう。しかし、ローンを利用して投資物件を購入するときはローン事務手数料は融資を受ける金融機関に対して支払う必要があります。

ローン事務手数料は、借入をする金融機関によって異なります。融資金額で事務手数料が決まったり、融資金額に関係なく10万円程度の固定した金額であったりするでしょう。借入を検討している複数の金融機関の金利が同じであれば、ローン事務手数料が安い金融機関を選ぶことで節約になるでしょう。

火災保険料

不動産投資物件であっても、加入しなければならないのは火災保険です。地震保険なども含まれます。火災保険だけの加入であれば、ワンルームマンションで10年の契約を結ぶ場合にはおよそ1万円~2万円くらいの金額になるでしょう。火災保険・地震保険はさまざまなプランがあるので、詳細を確認してしっかり保険を選ぶことで節約が可能な費用と言えます。

固定資産税

物件を購入した日に合わせて、固定資産税を日割りで精算しなければなりません。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に自動的に課税されます。そのため、売買した日をもとに固定資産税の日割り分を売買契約時に前所有者に支払う必要があります。固定資産税は節約できないコストです。

印紙税

物件を購入すると売買契約書を売主と取り交わします。また、ローンを利用する場合は金銭消費貸借契約書が必要になるでしょう。これらの契約書や領収書の金額に合わせて印紙税が課税されます。金額が決まっているために節約は難しいでしょう。

不動産取得税

物件購入後半年ほど経つと、物件が所在している管轄の税務署から不動産取得税の納税通知書が郵送されます。

物件価格が高い場合には、納税通知書に記載されている納税額も高いので事前にお金を準備しておく必要があります。固定資産税評価額×4%が土地・建物にかかる不動産取得税額です。

初期費用の大きな部分を占める!仲介手数料は節約可能?

初期費用の内訳についてはさきほど詳しく紹介しましたが、ここでは初期費用のなかでも割合の高い仲介手数料の仕組みについて見ていきます。実は仲介手数料はさまざまな方法で節約が可能です。物件探しの際にチェックしておきたいポイントがあります。

仲介手数料がかからない?

仲介手数料は400万円超えの物件であれば3%+6万円かかるので、物件価格が高ければかなり負担を感じる金額ではないでしょうか。仲介手数料がかからない物件を購入することで初期費用を節約できる可能性があります。

チェックするポイントは不動産売買の取引形態です。取引形態が「売主」または「販売代理」のときには仲介手数料はかかりません。売主物件は、物件の所有者が売主である場合です。たとえば、不動産仲介会社が売主である物件を購入すれば仲介手数料は発生しません。また、個人間売買の場合も同様です。

販売代理物件は、物件所有者が不動産仲介会社とのあいだで代理契約を結びます。その不動産会社が責任をもって販売から契約を行う方法です。仲介ではなく、代理販売という形になるので仲介手数料は発生しません。

仲介で契約すると仲介手数料は節約できない?

一方、不動産会社に仲介してもらう場合には仲介した不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。

ただし、400万円超えの物件であれば3%+6万円の仲介手数料とされていますが、この手数料は法律で決められた上限です。そのため、不動産仲介会社によっては仲介手数料を3割引などのサービスを行っている会社もあります。必ずしも満額で仲介手数料を支払わなければならないというわけではありません。

取引の形態により仲介手数料が節約できる可能性があるので、初期費用を節約したいと考えている人は「売主」や「販売代理」の物件を探してみるとよいでしょう。

保険に加入するときのコツ!少しの努力で節約が可能?

生命保険や火災保険にすでに加入している人も多いのではないでしょうか。そのため、保険を加入するときにはいろいろと比較検討して自分に必要な保険に加入しているものです。また、保険の補償内容がほぼ同じであれば保険料が一番安い保険に加入する人も多いでしょう。

不動産投資においても必要な保険は「火災保険」や「地震保険」などがあげられます。

保険加入も節約可能!?

投資不動産だから加入できる保険が限られているということはありません。普段の保険選びと同じように、十分に比較検討することが可能です。自分でしっかりと内容を確認すると保険料の節約につながる可能性が高いでしょう。不動産会社から保険について提案があるかもしれませんが、自分でも探してみることが大切です。

しかし、保険料が安いからよいというわけでもありませんので内容についてもしっかり把握しましょう。

ローンを組む時に節約できるポイントは?

投資物件を現金で購入しなければ、金融機関から融資を受けることになります。ローンを組む人の勤務先や年収などで融資条件は異なるでしょう。しかし、できるだけローンを組むときにかかる費用を節約するためにおさえておきたいポイントがあります。

まず、不動産仲介会社にいろいろと質問してみることをおすすめします。初期費用として気にしておきたいのは融資事務手数料です。不動産仲介会社によって提携している金融機関は異なります。不動産仲介会社が紹介してくれる金融機関のなかには、融資事務手数料の割引が受けられる可能性があります。また、初期費用だけでなく一般的な融資条件よりも優遇してくれる提携ローンがある不動産仲介会社も存在します。

そのため、不動産投資の初期費用をできるだけ抑えたい人は不動産仲介会社選びも大切と言えるでしょう。

予想しなかったコストが発生することも!

不動産投資の初期費用には、必ずかかる費用とそうでない費用があります。そのため、物件価格の6%~8%はあくまでも目安であるということを覚えておきましょう。なぜなら、投資物件の状況は購入時にそれぞれで異なるからです。そのため、物件を購入しようと決めたときに賃貸物件に必要な条件を満たしているかをしっかりチェックしておかなければならないでしょう。

もし、新築物件であれば気にする必要はありません。しかし、中古の物件であれば購入時の契約内容によっては修繕やリフォームが必要になることがあります。たとえば、エアコンの故障や給湯器の不調などにより交換しなければならない場合もありえます。壁紙の汚れがひどければ取り換える必要もあります。このような場合は初期費用の目安には含まれませんので、物件に応じて初期費用が予想よりもかかることを知っておく必要があります。

できれば物件価格の6%~8%以上の余裕資金を準備しておくことが大切です。初期費用を節約するために、安い物件を購入したのに修繕に予想以上のお金がかかってしまったということは避けたいものです。

不動産投資失敗?売却の出口戦略を考えよう!

不動産は仲介手数料などの初期費用、ローンを利用すれば利息がかかります。また、年間に固定または予期せぬ出費もあります。そのため、何年か不動産投資を続けていると家賃とコストのバランスが崩れ赤字が続いてしまうこともあるので注意が必要です。

投資物件売却の出口戦略は至ってシンプル

想定したように運営できないときは、投資用物件の売却を検討することも検討しましょう。売却の出口戦略は至ってシンプルです。購入時よりも高く売却できれば、赤字を最小限にすることができます。しかし、現実はそれほど簡単なことではありません。

工夫するべき点としては、空室続きで家賃収入がなければ支出だけが積み重なり赤字が拡大していきます。不動産投資に強い仲介会社に相談してみることもひとつの方法です。もし、立地が投資向きで買い手がすぐに見つかりそうな物件であれば仲介会社が買い取ってくれる可能性があります。

買い取り価格は一般向けの売却予定価格より下回ってしまう傾向がありますが、業者買い取りですから仲介手数料は支払わなくてもよいので手数料の節約ができます。また、即時買い取りであれば赤字の拡大も防げます。さらに、瑕疵担保免責ならリフォーム費用が必要ない分だけ節約できるでしょう。

【投資用などの不動産売却時の節税に関するポイントは特例の活用!】

不動産投資にかかる費用は節約できるものもある!

不動産投資の初期費用はそれなりの金額がかかるため、少し余裕を持って準備しておくことが大切です。予測していなかったことが発生したときに困らないようにしたいものです。また、初期費用は節約ができるものもあります。正しい知識を身につけたうえで、実際に行動することで初期費用を抑えられるでしょう。

不動産投資は最終的に物件を売却するときにどれだけお金が残せたかが重要です。

初期費用は不動産投資の経営に多少なりとも影響を与えますので、できるだけ節約できるように工夫してみてはいかがでしょうか。