不動産の売却によって出た利益のことを“不動産売却益”といい、不動産売却益に税金がかかることはご存知かと思います。 不動産売却益を計算するには、まず取得費を算出する必要があるので、今回は取得費の計算方法を含め、不動産売却益の計算方法をわかりやすく解説します。

不動産売却益の計算方法

不動産売却益は、ただ売却価格から購入価格を差し引いた金額ではありません。取得費と売却費用も差し引いて計算する必要があります。

不動産売却益の計算には取得費と売却費用も関わってくる

不動産売却益=売却価格-(取得費+売却費用)

それでは、まず取得費から解説していきましょう。

取得費とは

売却する不動産を取得するためにかかった費用のことを“取得費”といいます。具体的に以下のようなものが取得費になるものです。

◇購入代金
◇建築代金
◇購入時の仲介手数料
◇購入時にかかった税金
◇住宅ローン保証料

つまり、購入代金はもちろん、購入時にかかった様々な費用も含めて取得費になるのです。

これで取得費について理解していただけたかと思いますが、ひとつ注意していただきたいことが、取得費は売却する不動産の所有期間中の“減価償却”をする必要があるということです。

減価償却とは

購入した不動産は、時間の経過と共に劣化していき価値が下がっていくと考えられます。そこで、 “減価償却費”を算出して、取得費から価値が下がった分を差し引く必要があります。

減価償却の対象は劣化する建物だけであって、劣化しない土地は減価償却の対象外なので覚えておきましょう。

減価償却費の計算方法
減価償却費=(購入代金+購入時にかかった費用)×0.9×償却率×経過年数

償却率は、建物の用途と構造によってそれぞれ決まっています。

償却率

構造
木造
鉄筋
コンクリ






非事業用
33年
70年



0.031
0.015




事業用

22年
47年



0.046
0.022
取得費の計算方法
取得費=(購入代金+購入時にかかった費用)-減価償却費

例えば
3,000万円で取得した築15年の木造住宅の場合の減価償却費
減価償却費=3,000万円×0.9×0.031×15年=1,255万5,000円

この場合の取得費
取得費=3,000万円-1,255万5,000円=1,744万5,000円

購入代金がわからない場合

相続した不動産や昔に購入した不動産など、取得費がわからない場合は概算法で計算します。

取得費=売却価格×5%

例えば
4,000万円で売却した不動産の取得費
4,000万円×5%=200万円

つまり、この場合は売却費用を0円として不動産売却益を計算すると、不動産売却益は3,800万円になってしまいます。3,000万円特例を利用したとしても、800万円に譲渡所得税がかかるということです。実際の購入代金が概算取得費を明らかに上回る場合は不利益になってしまうので注意しましょう。

購入代金を証明できるような書類の添付や、購入当時の価格を推定する方法が認められる場合もあるので、税務署に相談してみましょう。

購入代金がわからないときは?

不動産売却益の計算例

 以下の条件で不動産を売却した場合の不動産売却益はいくらになるでしょうか?

築年数
15年
構造
木造
売却価格
3,000万円
購入代金
3,800万円
購入時にかかった費用
200万円
売却費用
111万円

この場合の不動産売却益は

減価償却費
(3,800万円+200万円)×0.9×0.031×15=1,674万円

取得費
(3,800万円+200万円)-1,674万円=2,326万円

不動産売却益
3,000万円-(2,326万円+111万円=563万円

563万円になるということです。

まとめ

このように、不動産売却益を計算するには取得費や減価償却費を算出する必要があり、それぞれの計算方法も理解していただけたかと思います。

不動産の売却によって売却益が出た場合は税金がかかるので、不動産売却益を理解したあとは税金について確認しておくことをおすすめいたします。