消費税と聞くと、買い物の際に発生する程度だと考えている人は少なくないものです。しかし、実際のところビジネス上の取引でも消費税は発生します。もちろんビジネスのひとつに数えられる土地売買も決して例外ではありません。では、具体的にどのような形で消費税がかかってくるものなのかを詳しくみていきましょう。

土地売買にかかる消費税とは一体?
土地売買にかかる消費税?

課税対象と非課税対象を覚えておこう

まず、消費税の課税対象となる取引条件というものがあります。第一に「国内の取引であること」、第二に「事業者が事業として取引するものであること」、そして第三に「対価を得られる取引であること」、最後に「資産の譲渡や貸付、および役務の提供であること」です。

これらの条件を満たしているなら取引は課税取引とされ、消費税が発生します。消費されるものではないため、土地に関しては売買も貸付も非課税対象となります。ただし、土地に関するサービスを実施するとなれば話は変わってくるので注意しなければなりません。

たとえば、駐車場にしたり、遊戯施設にしたりといった施設にする土地活用は第四の条件である役務の提供に該当します。つまり、土地であってもサービスを提供すれば課税対象となるので覚えておきましょう。

その他にもややこしい対象

それから、建物に関しては住居の貸付の場合は非課税取引に規定されていますが、建物の売買の場合は課税対象となります。住宅以外にも、事業用として建物の売買をするなら課税対象です。そのほかにも、返却されない権利金や敷金、礼金なども課税対象となります。住民以外の管理者による管理費や共益費も事業としての取引となるため、消費税がかかります。

このように、課税対象の条件を満たしているかどうかで消費税の有無は変わってきます。シンプルな土地売買をする分には非課税ではあるものの、状況によっては課税対象となるケースもあることを頭に入れておくといいでしょう。

消費税がかかる不動産とかからない不動産は何が違う?

消費税課税対象の不動産と非課税の不動産

消費税がかかる不動産とかからない不動産の違いといえば、単純に課税対象に該当しているか否かです。土地は消費するものではないため、土地売買をしても消費税はかかりません。ただ、不動産売買における例外の非課税取引というものもあります。

具体的に挙げると、居住用の家賃です。家賃に関しては国民の生活に直接関わってくるものであるため、社会政策的配慮に基づいて非課税と定められています。ただ、事務所と店舗の場合は国民の生活に直接的な関わりがあるわけではないため、消費税の課税がありますから間違えないようにしましょう。

シンプルに考えれば、土地は非課税で建物は課税となりますが、売主が事業ではなく個人の場合は建物部分に関しても非課税に該当します。このように、売主が個人か不動産業者かによって課税か非課税かが変わってくる場合もあるので覚えておきましょう。

つまり、建物が建っている土地を売却したい場合、相手が個人であれば消費税がかかる心配はしなくていいということになります。

不動産売買の消費税は誰が支払うのか?

非課税である土地売買ではあまり関係のない話にはなってきますが、不動産売買の消費税は誰が負担することになるのかは把握しておいたほうがいいでしょう。結論から言えば、消費税を負担するのはサービスの提供を受ける側である消費者です。つまり、不動産売買に関しては、売主ではなく、買主が消費税を含めた不動産価格を支払うことになります。

購入する側ではなく、売却する側であれば、不動産売買に関しては消費税について特に考える必要はないということです。

ただ、買主が負担するのであれば売主は全く配慮しなくてもいいというわけでもありません。売買の際には消費税額を含めた土地や建物の価格が表示されるわけですから、不動産の売れやすさに関わってきます。消費税によって高額になればなるほどそれだけ客足は遠のいてしまうものです。

売却をする際には消費税額を含めた総額を考慮したうえで価格設定すべきだと言えるでしょう。

消費税で注意しておくべきポイント

仲介手数料にも消費税が。。。

土地売買で消費税の件を考慮するにあたって注意しておかなければならないことがあります。それは、土地売買に関わる仲介手数料にかかる消費税です。

土地売買そのものに消費税は発生しなくても、仲介手数料は課税取引となるため、仲介手数料の税抜き価格には当然ながら消費税相当額を上乗せしなければなりません。ここを間違えてしまうと、初期投資段階での経費の見積もりに狂いが生じてしまうので土地を購入する際には十分に注意しておきましょう。

また、計算式に使われる不動産売買価格も税抜き表示で算出しなければならないので気をつけておくべきです。ただ、土地のみを売買する場合には非課税取引となりますが、土地と建物を一緒に売買するという場合には消費税が入った建物の価格と非課税としての土地の価格が一緒に計算されて表示されています。

その場合、仲介手数料を計算するときには建物にかかっている消費税額を差し引いて考えなければなりません。

金銭的な負担が大きいのは仲介手数料の税金

手間を支払う感覚

土地売買において税金面で金銭的な負担が大きいのは主に仲介手数料です。仲介手数料をかけないようにするためには、個人間での取引をするという手段もあるにはありますが、現実的ではありません。なぜなら、気心の知れた身内ということでもない限り、他人の資産をリスクヘッジもなしに購入するのは難しいためです。

不動産業者が仲介していれば、購入後に近所トラブルや違法埋蔵物を発見したなどのトラブルが起こった際に代わりに対処してもらえます。逆に言えば、仲介業者がいないとクレームは直接伝えるしかないですし、きちんと対応してもらえなければ買主は泣き寝入りするしかありません

だからこそ、不動産業者は基本的に必要不可欠ですし、そうなると必然的に仲介手数料も払わないわけにはいかないということです。

そんな手数料にも上限がある!

ただ、この仲介手数料は土地の売買に関わるお金であるため、どうしても高額になります。宅建業法で「売却金額×3%+6万円」と上限が定められており、たとえば1,000万円で売却した場合、36万円の仲介手数料がかかります。それに加えて消費税がかかると、8%で計算すると38万8,800円になります。つまり、税金だけで2万8,800円かかるということです。

あくまでも上限金額ですから、これよりも安くなる可能性はありますが、それでも高額の税金を支払わなければならなくなることは覚えておきましょう。

【仲介手数料の意味を理解して不動産売却を成功させよう!】

他にもある消費税が課税される費用項目

建物の売買や仲介手数料など以外にも、消費税が課税される項目があります。

1.一括繰り上げ返済手数料

1つ目は、融資を受けた場合の金融機関に支払う一括繰り上げ返済手数料です。土地を購入した際に金融機関から融資を受けて債務が残ってしまっている場合、不動産売却時に残債を返済することになった際に発生する手数料になります。

この手数料が具体的にどれくらいの金額になるのかは金融機関によって異なりますが、相場としては一般的に3,000円~5,000円程度だと考えられています。消費税8%で計算すると240円~400円が課税されるということです。固定ローンの場合は3万円~5万円かかるとされているので、消費税は2,400円~4,000円になります。

2.司法書士への報酬にかかる消費税

2つ目は司法書士への報酬にかかる消費税です。不動産売買をした際に必ず発生する費用というわけではありませんが、抵当権抹消登記を依頼する場合にはかかってきます。売却するときに買主にその権利を移すことができるように抵当権抹消登記をすることになりますが、この手続きを依頼した場合に消費税が課税されます。

司法書士に抵当権抹消登記を依頼する場合にかかる料金の相場は8,000円~1万2,000円程度だといわれているので、消費税額は8%で換算すると640円~960円です。

一つひとつの消費税額は大きなものではないですし、建物の売買時にかかる消費税に比べれば微々たるものだと思うかもしれません。しかし、それぞれの項目が積み重なればそれだけ大きな消費税額になるので、これらの場合でも課税されることは頭に入れておいたほうがいいでしょう。

土地売買における消費税対策は?

土地売買における消費税対策はあるの?

シンプルな土地売買の場合、非課税対象となりますから売買そのものに関しての消費税については特に考える必要はないと言っていいでしょう。

主に考えなければならないのは仲介手数料と金融機関に支払う一括繰り上げ返済手数料、司法書士への報酬にかかる消費税です。いずれも土地の売買取引の総額に比べれば大きな額ではありませんが、工夫次第で節約することもできます。

土地を売買するためには不動産業者に仲介してもらうことになるため、これを避けるのはなかなか難しいですが、金融機関と司法書士との取引にかかる消費税は押さえられます。

一括繰り上げ返済を発生させない方法

まず、金融機関に支払うための一括繰り上げ返済手数料を発生させないようにする方法です。

金融機関から融資を受けて債務が残ってしまっている場合に発生する手数料であるわけですから、債務が残らないように融資額を調整するのが得策と言えます。生活を切り詰めてまで無理にする必要はありませんが、金銭的な余裕があるのなら事前に余裕を持って返済できるだけの融資額に留めておくのが望ましいでしょう。

司法書士への報酬にかかる消費税対策

それから司法書士への報酬にかかる消費税ですが、抵当権抹消登記の手続きを自分でするという方法で対策が可能です。抵当権抹消登記をしないわけにはいきませんから、司法書士などの専門家に依頼をしないとなると自力で手続きをすることになります。

自分の力で手続きをするということは司法書士への依頼は必要ないわけですから、当然ながら消費税は発生しません。それだけではなく、司法書士への依頼料そのものも抑えることができます。少しでも費用を抑えたいということであれば、自分で登記をしてみるのもひとつの手段だと言えるでしょう。

発生する消費税の条件を把握しておこう

 土地売買そのものに消費税はかかりませんが、仲介手数料や金融機関の融資、司法書士への手続きの依頼などの面で発生してきます。建物とは違い、何故土地売買では消費税が非課税になるのか、土地と建物を一緒に売買する場合にはどうなるのかをきちんと把握したうえで取引することをおすすめします。

消費税額をきちんと把握し、必要に応じて消費税対策をすることで、より納得のいく取引ができるようになるでしょう。実際にかかる消費税額が正しいかどうか、払い過ぎていることはないかを確かめるためにも、課税取引の対象についてはよく覚えておきましょう。