親から相続した土地など、現在使用していない土地がある場合、その土地を上手く活用したいと考えている人もいるのではないでしょうか?
でも、いざ活用するとなっても、どんな活用方法があるのか、どのように活用すればいいか分からないという方もいると思います。
そこで、今回は、目的別に土地の有効的な活用方法や、失敗しないためのコツなどをご紹介していきますよ。
この記事の目次
土地の活用方法はどうやって決めたらいいのか?
今後も使う予定の無い土地をただ、所有しているだけでは、固定資産税がかかってしまうので、損になってしまいます。
せっかく所有している使わない土地があれば、有効活用したいですよね?
ですが、駐車場にしたらいいのか、マンションやアパートを建てたらいいのか?
その土地の場所や大きさによって、どんな活用方法が適切なのか、迷ってしまうと思います。
そこで、ここではどの様に土地の活用方法を決めたらいいのかをご紹介していきますよ。
安全性を重視した活用方法
大きな利益は望めないけれど、リスクも少なく、安全性を重視した活用方法になります。
例えば、コインランドリーなどは、人件費がほとんどかからないため、利益率が高いです。
また、専門的な知識も不要なため、始めやすいという特徴もありますよ。
他にも、
- 公共性の高い保育園
- 医療施設経営
- 老人向け施設
などといった活用方法があります。
収益を目的とした活用方法
安全性よりも収益を目的としたい場合は、例えば、アパートやマンションの経営などがあります。
ただし、アパート、マンションなどの経営は最初に建物を建てる必要があるので、初期費用がそれなりにかかってしまうというデメリットもあります。
ですが、人気の土地だと、安定した収入を得られます。
他にも、収益を目的とした活用方法としては、
- 戸建て賃貸経営
- 貸しオフィス
- 貸店舗
- コンビニの店舗経営
- 広い土地の場合、太陽光発電
などがあります。
節税対策の活用方法
節税対策目的の場合、建物が必要となる土地の活用方法を行う事がポイントです。
なぜなら、建物が無い土地は、固定資産税の減税対象からは外れてしまうからです。
例えば、
- アパートマンションなどの賃貸経営
- 補助金が望める保育園
- 墓地
などの活用方法があります。
初期投資を少なく済ませる活用方法
土地の活用を何かしたいけれど、初期費用はなるべく安く済ませたいという方は、駐車場経営などがおすすめです。
駐車場経営は車1〜2台止められるスペースがあれば、広い土地でなくても活用でき、人件費などもあまりかからないため初期費用を抑える事が出来ます。
また他にも、トランクルーム経営は、 コンテナを購入するか、リースするだけで始めることができ、設置も簡単なので、撤去する際も簡単です。
この他にも、
- トレーラーハウス
- 自動販売機
- 貸し農園
などといった活用方法があります。
特に貸し農園は、元々、畑だった場所の活用方法にはおすすめです。
なぜなら、土地には不動産登記法で定められた土地の種類というのがあり、「田んぼや畑」にしか使えない土地というのがあるからです。
ただし行政の許可が必要な場合があり、手間がかかる事もあります。
こんな方法もある!有効的な活用方法4種類
これまで、土地の活用方法をどの様に決めたらいいのかをご紹介してきましたが、中には、土地の一部は自分達で利用するため、そのまま所有し、一部分だけを活用したい人などもいると思います。
その様な場合どの様に、活用したらいいのか悩みますよね?
ここからは、ケースごとに、土地の活用方法について、ご紹介していきますね。
それぞれ、メリット、デメリットもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
今回紹介する活用方法は、主に4つあります。
- 賃貸住宅経営
- 等価交換
- 事業受託方式
- 定期借地
それぞれ、詳しく解説していきますね。
代表的な土地活用方法は賃貸住宅経営
まず、ご紹介するのが、賃貸住宅経営です。
代表的な有効活用方法で、所有している土地に賃貸アパートなどを建設すれば家賃収入を得ることができます。賃貸住宅経営のメリットは3つです。
賃貸住宅経営のメリット
- 定期的な収入源
・会社の給料や老後の年金に加えて定期的な現金収入が得られて安心
- ランニングコストの回収
・土地を所有していることに伴う固定資産税などのランニングコストを家賃収入で回収できる
・固定資産税の負担が重く不動産を手放したいと考える人にはうってつけ
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家賃収入が得られれば固定資産税を賃借人に負担してもらうことが可能になる
- 税金で有利になることも
・賃貸住宅経営で赤字になった場合は、一定の赤字分をそのほかの所得と相殺できる損益通算を適用して総所得を圧縮できる
・相続が発生した場合には、土地の相続税評価額を大幅に下げる効果も期待できる
賃貸住宅経営のデメリット
- 借り入れの負担
・賃貸住宅建設にあたって借り入れ負担が生じる
・多額の資金が必要になる場合、すべて自己資金で賄うことができなければ融資を受けることになるのが一般的
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返済負担が生じる
- 赤字になる可能性
・家賃収入で借入金返済額や必要経費をカバーできずに赤字になるリスクがある
・土地の立地条件次第では賃貸経営に適さず、賃借人を見つけることが困難になる
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結果空室が発生してしまい、予定していた家賃収入が得られない
賃貸経営によって赤字が生じて財産が減ってしまう事態になってしまったら本末転倒です。
採算検討をしっかり行ったうえで賃貸経営を始めるようにしましょう。
一部不要な土地がある場合は等価交換も有効
2つ目の土地活用方法は、等価交換方式です。
土地面積が広い場合、一部は売却したいが残りについては土地を活用して収入を得ながら自宅として住み続けたいといったケースもあるでしょう。
そういった場合は、等価交換方式を利用した土地活用が適しています。
等価交換方式とは
等価交換方式とは、デベロッパーなどが賃貸マンションなどを建設して、その建物と土地の一部を交換する方法
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土地の一部を同じ価値の建物と交換することで、「土地だけの所有形態」から「土地と建物セット」の所有形態に変わる
等価交換方式のメリット
- 建物建設資金を調達する必要がない
・自己資金の投入や建物建設資金調達のための融資を受ける必要がない
・建設費用はデベロッパーが負担し土地と建物を交換することになる - ⇓
・土地保有者は資金負担をすることなく建物を手に入れることが可能
・賃貸マンションの最上階に住み、それ以外の部屋を貸し出すことで賃貸収入が得られる
- 不要な土地を処分出来る
不要な土地を処分できること
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相続などで広大な土地を取得し手に余るという場合、実質的に一部売却と同様の効果が期待できる
等価交換方式のデメリット
-
一部手放すことになる
もともと売却を検討していた人にとっては、デメリットにはならない -
土地を手放しても現金が手に入らない?
等価交換のため手放した土地は建物に変わるため、土地売却によって現金を手に入れたい人には適さない手法と言える
借り入れ余力がある場合は事業受託方式
土地活用方法の3つ目は、事業受託方式です。
事業受託方式とは、土地の所有権は保有したまま、事業運用の全てをディベロッパーなどに一任するという活用方法です。
土地を売却しない活用方法
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売却した方が有利かどうかについて比較検討する必要ある
事業受託方式には2つのメリットがあります。
事業受託方式のメリット
- 土地活用についてデベロッパーのもつノウハウを活用できる
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土地活用のノウハウがない場合は有効的
テナントが埋まらないリスクを避けることができる
賃貸収入は一括借り上げの形で受け取れるため、テナントが埋まらないリスクや空室リスクを抑えられる
※ただし、予定通りテナント確保ができない、入居者がいない場合は交渉が発生する可能性がある 賃貸収入のリスクについても知っておく必要があります。
事業受託方式のデメリット
金融機関からの融資を受けることによって返済負担が生じること
デベロッパー提携の金融機関を紹介してくれるため金利は低めに抑えられる可能性がある
⇓
しかし
返済を負担したくない場合は適さない方法
資金負担が少ない定期借地という方法もある
土地活用の4つ目の方法は、定期借地です。
定期借地
- 期限が設けられている土地の貸し付け方式 借主が賃貸物件を建設するケースが対象 土地を所有し続けることになりますので、売却した場合との比較検討が必要
売却するよりもメリットが大きいと判断した場合は活用してみましょう。
定期借地で土地活用をするメリットは2つです。
定期借地のメリット
- 地代収入
・自己資金を投じることなく土地の貸し付けから生まれる地代収入が得られる
・定期借地契約を行った段階で、借地権設定代として一時金で対価を受け取る方法
・一時金なしで定期的に地代を受け取る方法
・両方を組み合わせる方法
など様々ある
いずれにしろ、追加投資をすることなく収入が得られる点が魅力
- おいおい土地が返ってくる
普通借地契約の場合
・すぐに土地を返してもらうことが困難な場合が多い
・借りている人の権利を守る必要があるため、貸し付けを辞めることに対して多くの制限がかかっている
定期借地の場合
原則として契約の更新はない 契約で定めた貸付期間が終了すれば使用できる状態で戻ってくることが期待できる
定期借地のデメリット
- 賃貸物件を自ら建設して賃貸収入を得る場合と比較すると収入が少なくなる
- 定期借地の場合は、必要経費がほとんどかからないが、収入も少なくなる点は理解しておく必要がある
失敗しない土地の活用方法のコツ
土地を活用したいと思っても、何も考えずに始めてしまうと、失敗してしまうリスクもあります。
ここでは、失敗しない土地の活用方法のコツをご紹介していきます。
その地域に最適な方法を考える
土地の活用方法で失敗しないためのコツは何といっても、その地域に最適な活用方法を考えるという事です。
例えば、付近に、商業施設や学校など何も無い田舎に、月極駐車場を作ったとしても、利用者はほとんどいないでしょう。
土地の活用を考える際は、その地域の付近にどの様な建物があるのか、どんな人がより多く利用するのかなど、その立地に最適な活用方法を考えましょう。
長期的な目線で考える
賃貸アパートなどを運営する場合、長期的な運営を考えていく必要もあります。
例えば、建物などは、年月の経過とともに、どうしても経年劣化していくものです。
そうなると、当然メンテナンス費用もかかってきます。
一方で、最初に建物の設備を充実させたりする事で、建築費は高くなりますが、その分家賃を高くしても、安定的に入居者を確保する事が出来たりもします。
この様に、土地の活用方法によっては、経費が発生したり、反対に初期費用がかかっても、後々、安定した利益を生み出す事が出来る事もあるので、長期的な目線で考える事も失敗しないコツの一つですよ。
無理の無い経営方法にする
例えば、土地の活用方法によっては、自分で管理する場合もあれば、専門の業者に依頼し、経営を任せる場合もあると思います。
専門の業者に依頼する場合、当然経費がかかってしまいますし、自分で管理するとなると、仕事や家事で忙しい場合、中々、土地の管理まで手が回らないという事もあるかも知れません。
依頼する場合、経費は負担にならないか、自分で管理する場合、仕事にさしつかえないか自分の生活状況もしっかりと考え、無理の無い経営方法にする事も大切です。
土地売却を行う場合の注意点
これまで、土地の活用方法についてご紹介してきましたが、一方で土地の所有を継続して土地活用するよりも売却が有利だと判断事もあると思います。
売却する方がメリットが大きい場合、売却の準備を始めることになります。土地売却にあたっては、3つの点に注意することが大切です。
3つの注意点
1.売却益に課税される税金
・土地の売却には所得税などが課税される
・ポイントは所有形態と所有期間
土地に住宅を建てて住んでいた場合
売却益から一定金額を控除できる特例
住み換えを行った場合
売却益に対する課税を繰り延べできる特例などを利用できる可能性がある
所有期間
※5年を境にして適用される税率が変わることに注意が必要(短期的な売買は避けるほうがよい)
※5年を超えるか否かで税率が倍も異なる
所有期間5年超
税率:約40%
所有期間5年以内
税率:約20%
※売却を行った年の1月1日で5年を超えるかどうか判定する
2.所有権移転登記
・所有権移転登記は法務局で行う
・売却前の登記状態を確認することが大切
相続などで取得した場合
売却前に自らが所有している状態に登記を整えておくことが重要
売却後の移転登記も忘れずに行う
売却後のトラブルを避けるためにも確実に所有権移転登記を済ませることが大切
3.税金・登記以外の費用
売却には税金や登録免許税以外にも費用がかかる
・不動産業者仲介の場合は仲介手数料
・印紙代
などさまざまな費用を漏れなく確認し、資金計画をしっかり行ったうえで売却に臨むことが大切です。
土地の活用に関してよくある質問
ここからは、土地の活用に関してよくある質問をご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみて下さいね。
土地の活用をしたいが相談に乗ってくれる所はある?
いざ土地の活用を始めようと思ってもどこに相談すればいいか迷ってしまいますよね?
土地の活用はどんな風にその土地を活用したいのかで、相談先は変わってきます。
例えば、月給駐車場などとして活用したい場合は、駐車場経営の専門業者や不動産などがあります。
また、賃貸マンションやアパートの建設をしたい場合は、ハウスメーカーや工務店、設計会社などです。
土地の活用について何か注意点はあるか?
土地の活用を考える際は、必ず、その活用用途に、違反が無いかどうか確認しましょう。
土地の利用方法には、法律や条例があります。
例えば、所有する土地が都市計画法の「市街化区域」や「市街化調整区域」に該当するかどうかをチェックしてみましょう。
市街化区域と市街化調整区域とは
・市街化区域とは
都市計画区域内ですでに市街化を形成している区域かつおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域のこと
・市街化調整区域とは
「市街化を抑制すべき区域」のこと。この市街化調整区域でぼ開発行為は原則として禁止されている。
土地の運用は様々な活用方法を比較して
土地の活用に関しては、賃貸アパートやマンション、月極駐車場など様々な方法があります。
また、土地の一部だけを活用したい場合は、等価交換方式といった有効的な活用方法もあります。
ただ、やみくもに、土地の活用を進めてしまうと、その土地にあった活用方法で無かったり、経費にばかり費用がかかってしまい、利益が全然得られなかったりしてしまう恐れもあります。
さまざまな土地の有効的な活用方法やメリット、デメリットを比較して最終的な判断を下すことが大切です。