家を売ったらどのくらいの金額になるのか、これから家を手放そうとしている人は特に気になるものです。ただ、不動産会社に依頼をして査定をしてもらっても、それがどこまで正確な数値なのか信頼できないと感じる人もいるでしょう。不動産の売買では、まず査定の相場を知ることが大切です。

ここでは、自分で不動産の査定相場を調べる方法を紹介します。

不動産の価値を正確に知ることは難しい

不動産価格はその時々の不動産市場の影響を強く受けて変動する

不動産の売買をする際は、より高値で取引したいと考えるのが心情です。そのためにも、まずは自分が持っている不動産の価値を正確に知っておかなければなりません。

不動産会社に査定を依頼するのは、自分の不動産の正確な価値を知るために欠かせないプロセスです。しかし、そもそも不動産には定価というものがありません。この世には1つとして同じ不動産はなく、それぞれの不動産は土地の面積も異なれば管理状況もまったく違います。部屋の方位や間取りによっても価値は大きく左右されるのです。

しかも、不動産の価格は取引時点で変動することが珍しくありません。不動産の価格は、その時々の不動産市場の影響を強く受けます。したがって、同じ不動産であっても、時期によって価値に大きな差が出てくることがあるのです。不動産の価格を判断するためには、そのときの不動産市場を正確に見極める目が必要とされるでしょう。

それに加えて、最終的な不動産価格は、売主と買主の合意が前提とされます。すなわち、売主と買主が双方の希望を伝え、話し合った末に最終的な売値が決まるのです。

このように、不動産の本当の価値や価格を知ることは、決して簡単ではありません。正確な数値を知るためには、できるだけ多くの情報を集め、自分なりに価格を検討する必要があります。

不動産会社の査定は信用できる?

自身でも相場を把握しすべてを不動産会社に任せきりにしない!

ただ、どんな不動産にも相場というものはあります。

相場とは、「この不動産ならこのくらいの金額で売れる」という目安のようなものです。もちろん、不動産会社がしてくれる査定も一種の相場です。しかし、査定というのは、あくまで不動産会社が独自に算出する数値に過ぎません。そのため、ある不動産会社では2,000万円の査定価格だったのに、別の不動産会社に依頼したら2,500万円で査定してもらえたということも珍しくありません。

もちろん、査定価格に開きがあるからといって、どちらかの不動産会社がいい加減な査定をしているとはいえません。独自の調査で査定しているだけなので、たとえ査定結果より高く売れたとしても安く売れたとしても、不動産会社そのものに責任はないのです。

要するに、不動産会社の査定価格というのは、あくまで相対的な数値に過ぎないということです。だからこそ、査定を依頼する場合は複数の不動産会社にお願いするのが鉄則です。複数の不動産会社に依頼しておけば、査定価格の相場というものを知ることができます。

ただし、複数の不動産会社に査定依頼をする場合でも、すべてを不動産会社に任せきりにするのは危険です。自分にも査定の知識がないと、相場を把握することはできても、その相場が本当に正確なのか判断できないからです。ですから、自分でもしっかり相場を調べておかなければなりません。

自分で相場を調べる方法とは

インターネットを駆使して不動産の相場観を掴みましょう

自分で相場を調べるためには、まず近隣の似ている物件の取引価格から探ってみてください。過去に売買された近隣の不動産がどのくらいの金額で売れたのか、その数値は自分の不動産を売却する際の良い判断材料になってくれます。

しかし、近隣の物件の売買価格を、広告などから判断するのは避けたほうが賢明です。広告などに記載されている物件価格は、「売り出し価格」と呼ばれているものです。それは、実際の取引価格であるとは限らないので、より正確な価値の指標とはいえないのです。

過去に売買された近隣不動産の正確な取引価格を知るためには、たとえば国土交通省が運営している土地情報システムのサイトなどを閲覧してみてください。国土交通省による運営サイトなので信頼性もありますし、戸建て住宅や中古マンションのおおよその取引価格を知ることができます。

インターネット上には、ほかにも信用できる不動産価格情報がいくつかあります。そうしたサイトを利用すれば、自分の不動産価格のおおまかな目安を掴むことができるはずです。

国土交通省の土地情報システムなどは面倒な会員登録などもないため、いつでも気軽にサイトの情報を閲覧することができるようになっています。過去の取引価格を参照して、まずは自分の不動産の相場観を掴みましょう。

「過去」だけでなく「現在」の相場を知るためには

不動産の価格というのは、その時々で価値が変わってきます。そのため、相場を知る際も「今」売ったらどのくらいの金額になるのかという目安を把握しておかなければなりません。国土交通省の土地情報システムなどで知ることができるのは、過去の近隣不動産のおおまかな取引価格だけです。それをそのまま現在の不動産価格にあてはめても、必ずしも正確な相場を弾き出すことはできないでしょう。

ですから、過去の相場を知るだけでなく、現在の相場を掴むことも忘れないようにしてください。現在の相場を掴むためには、購入者向けの物件情報をよく閲覧しておくことが大切です。

そのとき売り出されている物件が、どのくらいの売り出し価格になっているか見てみてください。近隣物件の売り出し価格を見るだけでなく、自分の物件と同じ間取り、同じ階数、同じ築年数など、情報を絞って閲覧すれば、現在の相場観がおおまかに掴めてくるはずです。もちろん、そうした物件情報の価格はあくまで売り出し価格に過ぎません。

実際の取引価格ではないため、情報を鵜呑みにしすぎずに、参考程度に留めておくとよいでしょう。

査定方法にも種類がある!簡易査定と訪問査定の違い

自分のなかである程度の相場観が掴めてきたら、そこで初めて不動産会社に査定を依頼してみてください。自分でも相場が把握できているので、不動産会社によって出された査定も、冷静かつ客観的に判断できるようになっているはずです。

ただし、不動産会社が行う査定の方法には2種類あります。1つが「簡易査定」で、もう1つが「訪問査定」です。

簡易査定は「机上査定」ともいわれ、要するに近隣の売り出し事例や公示価格を参考に簡易的にはじき出す査定のことです。これに対して、訪問査定は実際に対象となる不動産へ赴いて、実地調査したうえで算出される査定のことです。

不動産会社に査定を依頼する場合は、まず簡易査定をお願いするのが一般的です。簡易査定は、客観的なデータを手軽に参考にできる査定なので、迅速な回答を出してもらうことができます。また、簡易査定なら、複数の不動産会社へ同時に査定依頼をすることもできるため、まずは複数の不動産会社に簡易査定を依頼して価格を算出してもらいましょう。

簡易査定も訪問査定も複数社に依頼

インターネットを用いれば、簡単に複数の不動産会社に簡易査定してもらえます。複数の査定結果を得たら、それを比較検討して自分で把握している相場と照らし合わせてみてください。そのとき、より自分自身の相場観と近い不動産会社を選んだら、その不動産会社に訪問査定をしてもらいましょう。

訪問査定をすれば、より正確な査定価格を知ることができます。もちろん、訪問査定も複数の不動産会社に依頼することが可能です。一社だけでは不安だという人は、別の不動産会社にも訪問査定をしてもらえばより安心でしょう。

まとめ

不動産会社の査定を鵜呑みにしない

 不動産会社は、査定をすれば正確な数値を出すよう努力してくれます。しかし、不動産会社も商売ですから、契約を取るために相場より高めの査定価格を提示してくることもあります。高い査定を出してもらえたからといって、よく判断せずに食いついてしまうと、なかなか買い手が付かずに結局売り出し価格を下げるということにもなりかねません。

自分でもしっかりと相場を把握しておき、不動産会社の査定を冷静に判断できる目を養っておくようにしましょう。