不動産の売却は必ず売れるという保証はありません。もし、売れない場合は値下げしたり、売れ時を逃したりするなどのデメリットもあります。しかし、不動産の買取保証を使えば確実に不動産を売ることが可能です。そこで、今回は便利な不動産の買取保証について詳しく解説します。

買取は2種類!買取保証はそのうちの1つ

不動産の買取には「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。

即時買取とは売買活動を一切行わず、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。これに対して、買取保証とは、まず不動産会社の仲介によって売買活動を行い、一定期間売れない場合に不動産会社に買い取ってもらう方法です。

一般的なイメージとしてあるのは即時買取ですが、実際多く行われているのは買取保証になります。買取保証は一度売り出されているので、不動産会社の仲介によって市場価格で売却される場合もあります。市場価格での取引となれば即時買取よりも高い値段が付くので、よく選択されるのが買取保証です。また、即時買取をするには買い取る会社側にも大きな資金力が必要になります。

こうした資金力を持っているのは一部の会社だけです。したがって、そもそも即時買取をしてくれる会社自体が少ないことも買取保証が多い理由の1つといえます。

安心感は抜群!買取保証のメリットとは?

確実に買い取りしてくれる

確実に買取してくれるので安心感は抜群!

買取保証のメリットは「確実に買い取ってもらえる」ことです。不動産の売却は必ずしも売れるとはかぎりません。物件の状態や競合物件の有無など、さまざまな要因が作用して市場は形成されています。売却時期や売れるタイミングを逃してしまえば、いつ売れるのかも分かりません。もし、不動産の現金化を早くしたいという場合には、買取保証があると売れない場合でも確実に売却することが可能です。

また、築古や物件の状態が悪いなど市場ではなかなか売れないような物件でも買い取ってもらえます。不動産が手元に残るよりかは現金に換えてしまいたいという人には買取保証がピッタリです。もっとも、買取保証の場合、一般のエンドユーザーに向けて売却するときに比べて値段が7割ほどになってしまいます。所有している物件の条件が良く、市場で売れるのであれば売却したほうが値段は高くなるでしょう。

瑕疵担保責任も免除!

その他のメリットとしては、瑕疵担保責任が免除される点もあげられます。

瑕疵担保責任とは、売主が買主に対して建物の瑕疵(雨漏りなど)を保証する責任を負うことです。買取保証であれば、買主は不動産会社になります。不動産会社は不動産取引のプロとして法律上扱われるので、プロ相手に売主は瑕疵担保責任を負う必要はないとされています。

瑕疵担保責任の免除は売主にとって売買後のトラブルを防ぐことができるので安心です。また、買取保証であれば取引は不動産会社とだけで行うので、不動産を売却したことを周囲の人に知られません。この点、一般向けに売却しようとすれば広く募集することになるので、店舗のチラシやHP、広告などで売り出されます。知人や周囲の人に不動産を売却したことを知られたくない場合は不動産会社に買い取ってもらいましょう。

やはりデメリットもある買取保証

売却価格よりも低い価格になる

デメリットは販売価格より低くなる

買取保証の一番のデメリットは「売却よりも価格が安くなってしまうこと」です。売主としては所有している物件の希望売り出し価格で売却したいところですが、理想の売却価格で売るのはかなり難しいでしょう。なぜなら、売主の希望額より買取価格が低いことの方が多いからです。

どういうことかというと、不動産は世界に1つしか存在しません。たとえマンションの1室でも階層や日当たりなど条件がそれぞれ異なるため、物件1つ1つが唯一無二のものです。世の中に1つしか存在しないものは、オークション形式で売却すれば値段が跳ね上がります。なぜなら、競争原理が買主側に働くからです。
しかし、買取という形式では買主側に競争原理は働きません。なぜなら、決定権を持っているのは買主側であり、必要がなければ断ることもできるからです。これを不動産に当てはめてみると、一般に向けて売却しようとしたが売れないので会社に買い取ってもらうという構図になります。

これでは、買取価格は高くなりません。不動産会社が提示する買取価格に納得できるかが買取保証の一番の問題点といえるでしょう。また、買取保証は即時買取に比べると売却に時間がかかります。すぐにでも不動産を売りたいと思っている人は、買取保証よりも即時買取の方が向いています。ただし、即時買取にしても買取価格が低くなることは同じです。買取保証をしてもらう場合には、こうした点に注意しましょう。

売却との違いは?買取にかかる諸経費

買取にかかる諸経費は?

買取にかかる諸経費としては売買契約書に張る印紙税や抵当権抹消登記、利益が出た場合は売却後の確定申告で譲渡所得税がかかります。

印紙税は契約金額が1000万円~5000万円の間であれば1万円です。抵当権抹消登記とは、不動産についている抵当権(担保権)を外すことを指します。一般的には、司法書に依頼して登記をしてもらいます。その際に必要になる費用は、抵当権1本につき1万円程度です。譲渡所得税は、譲渡所得額や築年数などによって大きく変わるので、詳しくは近くの税理士に相談しましょう。

また、買取保証の場合、最初に売却活動をしているので、場合によっては修繕費やリフォーム代が別途かかることもあります。この点、即時買取であれば修繕費やリフォーム代はかかりません。

  • 印紙税
  • 抵当権抹消登記
利益が出た場合は・・・
  • 譲渡所得税

どんなふうに進む?買取保証のスケジュールは?

買取保証はどう進む?

買取保証のスケジュールは不動産会社によって変わります。一般的には、3カ月から6カ月の間でスケジュールが進んでいくことが多いです。

まず、媒介契約を開始してから1カ月目は相場の価格で売り出していきます。購入希望者が現れず2カ月目、3カ月目と売れ残っていたら、その都度価格を段階的に下げていきます。ここで、50万円や100万円単位で値下げをしたいという売主が多くいますが、その程度の値下げではあまり効果がありません。当初の売り出し価格から1割程度の割引をすると市場に対してインパクトがあります。

例えば、最初の売り出し価格が3000万の物件であれば、2~3カ月様子を見て2680万円や2690万円まで値下げするのです。このときはできるだけ安く見えるように、端数を80や90にしましょう。これだけ値下げをすれば購入者の食いつきも変わってきます。
それでも売れず4カ月目で売買不成立の場合、業者が買取査定額で買い取ることになります。4カ月目、5カ月目も売却を続けてくれる業者もありますが、半年を目処に買取に切り替えるのが一般的です。

なぜ買取価格は売却より安いの?

売却の場合は、不動産会社は仲介することによって手数料をもらいます。これに対して、買取の場合は不動産会社が一度買取り、修繕やリフォームを行って再度売りに出します。つまり、不動産会社は買取価格に加えてリフォーム代・会社の粗利・人件費・事務経費などを足した金額で再度売り出すことになります。

これだけの経費がかかることを踏まえた買取価格になるので、必然的に売却価格よりも安くなるのです。一般的な買取価格は市場価格の7割~8割程度になります。3000万円の物件であれば、2100万円~2400万円程度です。

まとめ

 売却よりも価格が大幅に下がってしまうのが買取保証の大きなデメリットです。しかし、「売却している時間ない」「不動産が手元に残るのは困る」という人にとっては非常に便利な手段となります。買取保証のメリットとデメリットをしっかりと把握したうえで、どの方法が一番自分に合っているのかをしっかりと考えましょう。

不動産売却は一度してしまうと取り戻せないので、慎重に考えたうえで契約するのが大切です。